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岸田「異次元の少子化対策」に期待できない理由。“普通”の施策で出生率を上げた海外事例=原彰宏

政府は本当に本気になったのか?

それでも「やる気があるのか」という疑念はあるようで、日曜日のTBS「サンデーモーニング」コメンテーターの松原耕二さんがこう述べています。

・少子化対策を打ち出したタイミングが気になる
・防衛増税一色になることを避けるために、受けの良い少子化対策を出してきたのではないか
・統一地方選挙や補欠選挙向けのアピールではないか
・選挙までは財源f議論は封印、少子化対策は期限を区切っていない
・本気度がわからない
・少子化対策の財源の裏付け議論など、政権の本気度を見極めるべきだ

「異次元の」というネーミングから、言葉遊びをしている感じは確かにありますよね。政府の本気度をチェックする必要がありますね。

防衛費増額はすぐに予算が付きましたが、少子化対策には、具体的にどれだけの予算が付くのでしょうか。

海外は少子化対策にどれくらいの予算を割いているのか

同じくサンデーモーニングで紹介された資料「2017年子育て関連の公的支出の割合(対GDP比)」によれば、

フランス   3.60%
ハンガリー  3.47%
スウェーデン 3.40%
OECD平均  2.34%
日本     1.79%

日本は極端に低いですね。別の番組でも同じ資料を紹介していて、そこでは、

イギリス  3.23%
ドイツ   3.17%

も紹介しています。

一方で、日本よりも低い韓国(1.30%)、米国(1.08%)もあり、一概には対GDP比の数字だけでは判断できない部分はあるのかもしれませんね。

フランスでは子どもを産めば産むほど生活が楽になる?

では、具体的に海外の例を見てみましょう(実際に海外に行って見聞きしたことではなく、書物や公的機関の発信情報などから拾ったものになります。そこはご了承ください)。

フランスの社会制度は、子どもを産めば産むほど有利なシステムになっているそうです。2人以上の子どもを養育する家庭に給付される「家族手当」に所得制限はありません。20歳になるまで、子どもの数によって支給されます。日本とは違い、子どもが1人の家庭には支給されません。

特に子どもが3人になってから支給される「家族補足手当(多子手当)」というのがあり、所得制限はありますが、制限は緩やかになっています。「新学年手当」というのがあり、6歳から18歳までの学齢期の子どもがいる世帯に支給されます。所得制限があります。また、子どもを3人養育すると、年金が10%加算されます。すごいですね。

「乳幼児受入手当」は3歳までの乳幼児を扶養する世帯が対象で、「出産・養子手当」「基礎手当」「就業自由選択補足手当」「保育方法自由選択補足手当」の4つがあります。「基礎手当」「就業自由選択補足手当」は毎月支給されます。各手当について、以下に補足します。

<出産・養子手当>

出産出産に係る費用を補てんするために妊娠7か月に支給される手当(所得要 件あり)、 養子手当は、20 歳未満の子どもを扶養家族として養子縁組した世帯に支給される手当です。

<基礎手当>

3歳未満の乳幼児を扶養する世帯が受給対象となっており、子どもの誕生月から3 歳になるまで毎月支給されます(所得要件あり)。支給に当たっては、3回の乳幼児健診が義務付 けられています。

<就業自由選択補足手当>

3歳未満の子どもの養育のために保護者が就労を完全にまたは一部 中断している世帯に対して、毎月支給される手当(所得要件なし)。

<保育方法自由選択補足手当>

保育方法自由選択補足手当は、6 歳未満の子どもを扶養している世帯が認定保育ママ(ベビー シッターを含む)を個人的に雇用した場合等に、彼らの雇用に関わる賃金や社会保険料の 一部を補てんするために毎月支給される手当。

このほか、1人親世帯を対象とした「家族支援手当」や、障害を持つ 子を扶養する世帯を対象とした「障害児教育手当」、事故や障害を持つ子に保護者が付き添う必要がある場合に支給される「親付き 添い手当」、「住宅手当」があります。

単に「給付」だけが多いだけではありません。

働き方において、子育てのために仕事を全面的に休むのか、週4日や3日勤務、午後3時までと言ったように時間短縮するかなど、個人に合わせて労働の有無や、労働時間数を選択することができるシステムがあります。父親休暇を含め、出産・育児休暇も日本よりも多くあり、企業側にも、子育て支援のために協力することを要請しています。

両立支援……仕事と育児の両立を、国を挙げてサポートしているのです。

Next: なぜフランスとスウェーデンは出生率が高い?政府の手厚い支援

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