なぜフランスとスウェーデンは出生率が高い?
なぜフランスは出生率が高いのか。合計特殊出生率が高いフランスやスウェーデンでは「婚外子」や「同棲」の割合が高いようです。
フランスのパクス(PACS、連帯市民協約)やスウェーデンのサムボ(同棲)といった、結婚(法律婚、教会婚)よりも関係の成立・解消の手続が簡略で、結婚に準じた法的保護を受けることができる制度があるためだとされています。
戸籍よりも事実関係が大事……ですか。ここは、日本もぜひ見習ってほしいですね。なぜ日本ではできないのでしょうか。文化や宗教観で説明するのは、いささか答えにはなっていないように思えるのですがね。
もしそういうことでできないのなら、米国の中絶問題もそうですが、国民の利益にあるための制度設計に宗教観は加味する必要はあるのでしょうか…。
スウェーデンでは、男女機会均等から出発した家族政策や女性解放政策によって、結果として少子化を食い止めました。なんと、子どもを出産する間隔を短くすると優遇されるそうですよ。子どもを次々と生むと制度上有利になるのです。
父親専用の育児休暇が法的に定められていたり、高い育児給付金であったり、国として少子化対策に前向きであることが伺えます。
ハンガリーでは「子沢山」を奨励
ハンガリーは、その政権が権威主義的ポピュリズムであり、「ハンガリーのトランプ」とまで言われているオルハーン。ヴィクトル首相ですが、自身も5人の子持ちでもあり、少子化対策には本気の姿勢が伺えます。
子沢山を奨励……ユニークなのが、3人以上の子どもがいる家庭は、7人乗り以上の新車を購入すると、7,500ユーロの補助金がもらえるそうです。
有給育児休暇3年、4人生んだら所得税ゼロ、新婚カップルに対する税額控除に無利子ローン、マイホーム補助金……特筆すべきは「学生ローン返済減免」。これは、学生ローンを借りていた女性が第1子を妊娠した場合、妊娠3カ月目から3年間、返済を停止できます。第2子を妊娠した場合も同様、第2子を出産後は、学生ローン残額の5割が免除されます。さらに、第3子出産後は残額全額が免除されます。なんとも斬新なアイデアだこと。
さらには、体外受精無料化。第1子に対して5回まで、第2子以降は4回までの体外受精費用を、全額補助しています。体外受精にかかる医薬品の100%保険適用、これによって、体外受精は無制限に健康保険が適用されるようになりました。
これらの「異次元の少子化対策」で、ハンガリーでは過去10年、子どもを産む人が2割増えたとのことです。これらが「異次元」の少子化対策ではないでしょうか。
さて、岸田政権の「異次元の少子化対策」って、どんなものが出てくるのでしょうか。
選挙に行かない若者よりも「票になる」高齢者に税金を投入?
社会保障といえば、高齢者のためにある言葉のように今までは捉えられていました。「全世代型」を強調する政府は、どうやって若者世代に保障を拡充していくのかが問われます。
票につながらないから若者対策は疎かになる……政治家が、保身のために(自身への票のために)政策をしているようでは、いつまでたってもこの国は良くはならないですね。
年金制度には「年金支給辞退」というのがあります。高齢者側が、自ら率先して痛みを受けることができるのか、自分たちへのリソースを、次世代の若者に費やす発言ができるのでしょうか。
選挙前には高齢者に優しい発言ばかりで、このことが社会保障制度の抜本的改革を妨げてきました。高齢者の耳が痛いことはずっと言ってこなかったのです。
介護士待遇は改善されても、保育士待遇はなかなか改善されない……若者に向けた政策がなかなか動かないのも、政治家が「票」を意識するあまりの行動の結果のように思えます。
だから若者は投票に行こう……そういう話ではないでしょう。日本の未来に投資するのは国家運営には大事なことであり、若者の投票行動に関係なくやるべきことはやらなければ。