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始まったロシア軍の全面攻勢、プーチンが見逃さなかった4つの好機とは?勝利宣言したら欧米はどうするのか=高島康司

ロシア軍の勝利を示唆する発言

このような状況で、欧米には焦りが出てきている。ウクライナの隣国で最大の支援国のひとつであるポーランドは、このままだとロシアが勝利する可能性があるという強い危機感を持っている。

2月11日、ポーランドのアンドレイ・ドゥダ大統領は、プーチン大統領がウクライナに侵攻し「暴君と植民地主義者のように」振る舞ったと非難し、キエフが必要とする軍事装備と援助を緊急に受けなければ、権威主義の指導者が戦争に「勝つかもしれない」と述べた。

ドゥダ大統領は以前、「まだ非常に強い」ロシア軍が数カ月以内にウクライナで新たな攻勢を準備しているかもしれないと予測し、キエフには長距離ミサイルや戦車などの追加支援が直ちに必要だと述べていた。

「ロシアには近代的な軍事インフラはないが、人材はいる」と、ドゥダは仏紙「ル・フィガロ」のインタビューで警告している。

「もし我々が今後数週間のうちにウクライナに軍事装備を送らなければ、プーチンが勝つかもしれない。彼は勝つことができ、私たちは彼がどこで止まるかわからない」と付け加えた。

政治交渉を求める声

ポーランド大統領がロシアが勝利する可能性を示唆するとは、相当な焦りである。それを回避するために、欧米の軍事支援を強く求めているのだ。

一方、こうしたロシアに有利な状況ではウクライナ戦争は一層エスカレートするとして、即刻の政治交渉を求める声もこれまで以上に強くなっている。そのような意見記事がつい先頃「ワシントン・ポスト紙」に掲載された。コネティカット大学歴史学教授のフランク・コスティリオラの記事である。著名な歴史学者だ。

この記事でコスティリオラは、1950年代の朝鮮戦争と60年代のキューバ危機を例にして、アメリカは過去何度か核戦争に発展する危機を経験したという。しかし、このいずれの場合でも、大統領の政治交渉に向けての勇気ある決断によって、核戦争の危機は回避されたと主張する。いまウクライナ戦争が核戦争へと発展する可能性があるとき、政治交渉の勇断こそ重要であるとした。

これと同様の意見は、ドイツ左派党のサーラ・ヴァーゲンクネヒト議員も表明している。ヴァーゲンクネヒトは、ドイツの大手紙「Die Welt」のインタビューに、武器の代わりにプーチン大統領と停戦交渉を行うべきであると、断固とした姿勢で語っている。より「現実的な」アプローチは、ウクライナの中立的地位と紛争地域の非武装地帯化を宣言し、領土の所属を決める住民投票を実施すべきだ彼女は主張した。

このように、ロシアが有利な情勢で全面攻勢を実施しつつある中、政治交渉を求める声が、以前よりも増して強くなってきている。もちろん、この他にも政治交渉を模索する水面下の動きは激しい。

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