今回のG7財務大臣・中央銀行総裁会議は本当に何事もなかったことで、外為市場もあまり動意をみせなかった。今後、意外にサプライズとなるかもしれないのは、日本の消費増税の行方かもしれない。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)
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市場が勝手に織り込んだ「消費増税延期」手のひら返しに要注意!?
本当に「何事もなかった」G7
20日から21日にかけて仙台の温泉地である「秋保」で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議は、何事もなく無事に閉幕した。
歓迎レセプションで鏡開きをする様子や仙台城跡での記念撮影が、財務省のサイトのフォトライブラリーで見ることができる。仙台城跡の伊達政宗像の前での記念撮影の一枚には、麻生財務相・黒田総裁・ルー財務長官・イエレン議長など皆が笑顔のなかで、一人だけ「ムッ」としているドラギ総裁がいた。たまたまそのタイミングで撮ってしまったと思われるが、もしや何か思うところがあったのだろうか。
それはさておき、今回のG7財務大臣・中央銀行総裁会議では本当に何事もなかったことで、外為市場でもあまり動意をみせなかった。注目ポイントのひとつとみられた日米政府の外為市場の見解の相違に関しては、互いへの強い批判は避けた格好となった。
日経新聞によると「ここ数週間をみれば、10日間で8円とか9円とか振れるのは秩序だった動きとはいえない」との麻生財務相の発言に対し、「相場は無秩序とはいえない状況だろう」とルー財務長官は発言するなど、平行線のままではあった。21日朝に開いた日米財務相会談でも、麻生財務相は「ルー長官と特に激論があったわけではない」と発言している。日米とも今年は選挙を控え、それぞれの立場も意識し、米国としても開催国の日本に配慮していた可能性もある。
ただし、根本的な見解の相違が存在していることは確かである。それでも日本としては、急激な円高に対しては介入という手段があることを、市場に認識させておきたい意向はあるであろう。ただ、ドル円そのものがここにきて105円台から110円円台に戻すなどしていたことで、それほど神経質にはなっていないことも確かである。
ここからあらためて円高が進むような事態になると、状況が変わる可能性がある。
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