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明治「キシリッシュ」はガム終売でグミを新発売。約20年で生産量・販売額が半減以下の“ガム離れ”のなか専業メーカーの命運は?

製菓大手の明治がこの3月で「キシリッシュ」などのガムの販売を終了し、チューインガム事業から事実上撤退することを表明するなど、“ガム離れ”の動きが顕著になっているとSNS上などで話題になっているようだ。

報道によれば1997年に発売したキシリッシュは、日本で初めてのキシリトール配合ガムとして人気に。ただ、2007年をピークに売り上げは減少が続いていたようだ。

今後、明治は市場規模の大きいチョコレートやグミに集中して業績を伸ばす方針で、同社は「ファンに申し訳ない。今後も価値ある商品を提供する」としている。

すでにガムとグミの市場規模は逆転

第二次世界大戦時、アメリカ将兵が外地に出征した際に、現地での物々交換やプレゼントに使ったことが、世界的普及のきっかけとなった……といった話もあるというチューインガム。

単に菓子としての味わいもさることながら、噛み続けることで眠気を防いだり集中力をアップさせたりできる、また顎の噛む力が鍛えられるといった効能もあるとされ、クルマの運転時や自宅での勉強の際には欠かせないといった人も多かったはずだ。

にもかかわらず、気が付けば今回のように販売をやめるメーカーまで出てくるなど、市場での存在感がすっかり薄くなっていた模様。

業界団体の日本チューインガム協会の統計によれば、生産量・販売額ともにピークは2004年だったようで、それ以降はずっと右肩下がり。最新の2021年のデータを見てみると、その生産量は18,950トン、小売金額は755億円で、ピーク時と比べてともに半分にも遠く及ばないといった数字だ。

いっぽう、そんなチューインガムに取って代わる格好となっているのがグミキャンディの類で、とあるマーケット調査会社の調べによれば、その2022年の市場規模は562億円と、前年比で14.0%もの増加。さらに2023年は587億円(4.4%増)と、さらなる伸長が見込まれるという。さらに別の調査によれば、昨今のグミ人気によって、すでに市場規模の面でチューインガムを逆転するに至ったということだ。

現に、今回チューインガムの発売を終了するとアナウンスされた明治のキシリッシュに関しても、その味わいを引き継いだ「キシリッシュグミクリスタルミント」を、来月から発売するとのリリースが、この13日に発表となったばかり。

チューインガムからグミへ、消費者の人気が完全に移行したことの象徴的な出来事とも言えそうなこの出来事だが、一度は消滅かと思われたキシリッシュが存続するとあって、SNS上では「個人的には形は変われど吉報」「メディアの使い方がうまい!」などと、好意的に捉える反応が多いようだ。

「マーブルガム」のマルカワは輸出にも注力

このように、いわば“ガム離れ”といえるような状況が顕著な昨今。その人気急落を巡っては様々な要因があがっているところなのだが、近年ではコロナ禍の影響もあって、口に入れたものを出すことに消費者の間で抵抗感が増した……といったことも、需要減に繋がったとの見方も。

いっぽうで、そもそものチューインガムへの不満として“最初は美味しいがすぐに味が無くなる”“噛み終わった後にゴミが出る”などといったものがあったといい、そういった面でグミが優れていたことから、その人気が移ったという話も取沙汰されているようだ。

そうなると今後は明治に限らず、チューインガムからグミへの移行を進めるところが出てきそうな情勢だが、いっぽうで菓子メーカーのなかには大手のように多彩な種類の菓子を扱うところもあれば、“チューインガムひと筋”といったメーカーも存在する。

例えば「マーブルガム」「フィリックスフーセンガム」を製造販売している丸川製菓は、そんな“ガム専業”の代表的メーカーだが、ここ十数年の“ガム離れ”の動きでかなり経営が苦しいのでは……と思いきや、業績のほうは横ばいを維持できているということ。

マーブルガムの生産開始は昭和30年代にまで遡るということで、昭和・平成・令和と時代を超えて愛され、いわば駄菓子屋の定番商品として確固たる地位を築いているという強みもさることながら、そのいっぽうで海外への輸出も昭和の時代から積極的に行っていたとのことで、今ではその売上が全体の約3割を占めるということ。また近年では、袋入りやボトル入りのマーブルガムといった、家族で食べることを想定した商品も展開しており、それらも人気を博しているようだ。

実際、チューインガムが徐々に姿を消しているといった最近の状況に対しては、悲しいといった声も少なからずあがってるところ。世の人気がグミへと移行する流れは今後も進んでいきそうな情勢も、チューインガムの存在がたちまち消えてなくなってしまうということは、当分のところなさそうである。

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