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やがて来る植田日銀「長短金利操作」修正。なぜバクチ打ちは長期国債を売買する?長期金利が上がると債券価格が下がるワケ=塚崎公義

長期金利が上がると債券価格は下がる

しかし、A銀行の持っている国債の金利が1%だとしたら、B銀行は「そんなものは買いたくない」と言うでしょう。B銀行は、金利2%で金を貸せば、100円が120円になるのに、A銀行から国債を買っても110円にしかならないからです。

もっとも、工夫の余地が無いわけではありません。A銀行がB銀行に国債を90円で売れば良いのです。そうすれば、B銀行は20円の利益を得ることができますから、金利2%で貸したのと同じ効果が得られます。実際のプロたちはもう少し複雑な計算をしているようですが、基本的な考え方は以上です。

A銀行が持っている国債の金利が1%だということは、それが発行された時には世の中の長期金利が1%だったということです。そうでなければ日本政府が国債を売り出しても誰も買いませんから。

つまり、その国債が売り出された時の人々の予想する短期金利は1%だったわけです。それが人々の予想の変化によって2%に上がったわけです。そうなると、今日発行される国債の金利は2%になるのでしょうが、それと同時に昨日発行された国債は値下がりする、というわけですね。

反対に、人々が短期金利の予想を引き下げると、長期金利が下がるので、国債の値段は値上がりします。昨日発行された国債は高い金利を払ってくれるので、宝物のように扱われるわけですね。

国債の需給が長期金利を動かすこともある

長期金利の基本は上記のように予想短期金利の平均ですが、国債の需給が長期金利を動かすこともあります。

仮に日銀が国債を買わなければ、政府が巨額の国債を発行することで、国債の供給が需要(銀行が買いたい額)を上回ってしまい、国債の価格は下落するでしょう。そうなれば、国債を買った人は高い金利(利回り)を享受できることになります。そして、次から発行される国債は高い金利を付けなければ売れなくなるわけですね。

これは、国債の売り注文と買い注文という需給関係から説明することもできますが、長期固定金利で金を貸したい人と借りたい人の需給関係という説明も可能です。貸したい人が少ないのに借りたい人が多いから金利が上がった、というわけですね。

実際には反対に、日銀があまりに巨額の国債を買っているので、長期金利は人々の予想する将来の短期金利の平均より低くなっています。というよりも、日銀が長期金利をその水準まで押し下げているわけです。

そこで、日銀が「今後は金利を押し下げることをそれほどがんばらない」と宣言すると金利が上がる、という状況にあります。昨年末に起きたことはそういうことでしたし、今後もそうしたことが起きるかも知れないと言われています。

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