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メガネスーパー、生活保護の過大請求発覚で噴出する“氷山の一角”との見方。いっぽう「JINSかZoffで買え」という生保受給者への批判も

「メガネスーパー」などを展開する「ビジョナリーホールディングス」の3店舗において、生活保護の受給者がメガネを購入した際に、その代金について販売価格を上回る額を自治体に請求していたことが判明した。

生活保護受給者は、メガネが必要な場合に「医療扶助」という制度で現物給付が受けられ、その上限額に関しては度数などによって変わるとのこと。報道によれば今回、1万2,000円で販売したメガネを、医療扶助の上限に近い2万2,800円として自治体に請求し、その差額の1万円ほどを、店側がくすねるといったことがあったという。

昨年12月に都内の店舗を利用した受給者から問い合わせがあり、同社の内部調査によって3店舗での過大請求が発覚し、その額は合計で約12万円ほどにのぼるということ。現在、同社では全国約300店舗に対して聞き取り調査を進めているところだという。

付加価値高単価路線で業績回復も…

昭和の時代からテレビCMを精力的に展開するなど、メガネやコンタクトレンズなどの販売を行う一大チェーンとして、全国的にも知名度が高いメガネスーパー。

ところが2000年代以降は、商品企画から製造・小売までを一貫して行うSPA方式の採用により、低価格を実現させた「JINS」「Zoff」といった新興勢力に押されて、業績はじりじりと低迷。

その後は創業家出身の役員が経営から身を引き、投資ファンド主導による経営再建が進められることに。そこで価格を競うのではなく、本格的な検眼やフィッティング、さらにアフターサービスなどを充実させ、他チェーンとの差別化を図るという路線に舵を切ることで、業績回復に成功したという経緯がある。

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実際、格安のメガネチェーンなどでは無料で行われる検眼やレンズ加工も有料で、さらにケースやメガネ拭きなども基本的に付属しないというメガネスーパー。とはいえ、いくら付加価値高単価路線を志向するといっても、多少の割引は行わないと客が付いてこないというのが現実のよう。

今回の件に関しても、会社の聞き取り調査に対して「販売価格は割引価格で、本来の定価は上限額を上回る認識だったので上限額に近づけて請求した」と話す従業員がいたと、一部メディアでは報じられている。この言い分を真正面から捉えれば、自らが目指す高単価路線と業界内で巻き起こる熾烈な価格競争のはざまに立つメガネスーパーがゆえに、今回の件は起こってしまったという見方もできそうである。

「メガネスーパーなんて贅沢」との生保受給者批判も

ただ、そうは言っても血税が原資である公金を過剰に得るといった行為が、世間から理解を得られるかといえば、そんなことはあり得るわけがなく、SNS上でもメガネスーパーへの批判は鳴りやまない状況だ。

そもそも生活保護といえば、いわゆる“公金チューチュー”の格好の餌食であることが、度々指摘されるところ。例えば賃貸住宅を借りる際など、本当は補助の上限を下回る家賃の物件であっても、上限ぴったりの家賃に値上げして請求するといったことは、どこでも行われていることであり、そういったことからメガネスーパーによる過大請求も、そういった思惑での行為と捉える向きがほとんどで、さらに今回のことはあくまで“氷山の一角”だとする見方も多いようだ。

いっぽう、それと並行して出て来ているのが、生活保護の“優遇ぶり”をあげつらう意見。特に今回の場合は、例えばJINSやZoffならまだしも、世間でも高価といったイメージの強いメガネスーパーで起こった出来事ということで、「メガネスーパーとか高いところで買うなよ」「2万超えのメガネを貰える生活保護者って自分たちより贅沢」といった批判も多くみられる。

実際、生活保護からメガネ代が出るのは原則4年に1回に限られるということで、過剰に優遇された補助といったこともないようなのだが、昨今では下手に年金をもらうよりも生活保護のほうが医療費も無料で手厚い……といった話も頻繁に飛び交うこともあり、そういった半ば羨望交じりの声も多くあがる事態となっているようだ。

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