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モスフード史上最高売上で赤字転落の怪。お化け飲食企業“うかい”絶好調の謎を解く=井戸実

経営陣のほとんどがプロパー出身の役員

そこで、現在の経営陣がどのような人で構成されているのかプロフィールを確認してみると、モス社のプロパー社員出身の役員がほとんどです。

取締役社長 中村栄輔氏(65歳) 88年6月入社
取締役常務執行役員国際本部長 瀧深淳氏(58歳) 86年4月入社
取締役常務執行役員 福島竜平氏(59歳) 86年4月入社
取締役常務執行役員開発本部長 内田優子氏(63歳) 85年入社
取締役上席執行役員営業本部長 太田恒有氏(53歳) 95年4月入社

残り4人の取締役は外部からの役員となっていりますが、察するにプロパーの役員の方々が、重要決議を差配していることと思います。

別に僕は同社の株主でもなんでもないので恨みも何もありませんが、このような決算になってしまうのは違和感があります。

同社は、自己資本比率が64%で、ネットキャッシュが150億円もあります。なので危機感があまりないのかもしれません。無謀なチャレンジをせず、既存の事業を守っていけば、絶対に潰れない企業構造になっているので、外部から変な人材を迎え入れてしまい、それがバカボンでしかないような事態になってしまうくらいなら、モスに一生を捧げたプロパー役員が舵取りするのが一番なんだとは思います。

コロナ禍で快進撃を続ける“うかい”

また、コロナで苦境に喘ぐ居酒屋企業に対して、コロナを打ち負かした外食企業はどこかと追い掛けていたら、面白い会社がありました。

「とうふ屋 うかい」などを展開する株式会社うかいです。

コロナ前の19年からの業績は以下の通り。

売上高/当期純利益

19年 139億円/9千万円
20年 132億円/▲4.9億円
21年 85億円/▲16億円
22年 98億円/▲8.6億円
23年 126億円/9.1億円

ご多分に漏れず、コロナ禍の3年間は悲惨でした。20年~22年の3年間で30億円近い赤字を叩き出しました。着目したいのは、21年度と22年度の助成金(給付金)額です。

同社の2年分の助成金収入の合計は、8.5億円でした。

この時期の同じ売上規模の企業で「備長扇谷」などを展開するヴィアHD社と串カツ田中HD社の助成金収入を調べてみると、ヴィアHDは約60億円(20年4月~22年3月末)、串カツ田中は34億円(20年12月~22年11月末)の助成金収入となっています。

15店舗で99億円を売り上げるお化け企業

それに対してうかい亭社は8.5億円しかありません。なぜかと不思議に思って調べていくと、その理由が明らかになりました。

芝とうふ屋うかい 2,033,766
銀座うかい亭 1,098,519
横浜うかい亭 959,383
うかい鳥山 912,362
表参道うかい亭 789,007
あざみ野うかい亭 685,355
八王子うかい亭 738,269
とうふ屋うかい鷺沼店 526,374
とうふ屋うかい大和田店 420,969
うかい竹亭 370,645
六本木うかい亭 350,398
グリルうかい 丸の内店 322,692
六本木 kappou ukai 263,671
銀座 kappou ukai 肉匠 214,729
ル・プーレ ブラッスリーうかい 131,346
単位(千円)

これは同社の23年3月期で126億円を売り上げる「うかい」のレストランの店別売上です、なんと15店舗で99億円を売り上げるのです。

この他に物販事業で17億円、箱根ガラスの森美術館事業で9.6億円の売上があるのですが、レストラン事業で一番売っている店は、東京タワーの裏にある「芝とうふ屋うかい」で、年商20億円です。これはマジで凄いことです。

僕が行ったことがあるのは、芝・銀座・六本木・烏山・表参道・あざみ野ですが、東京タワーの下の店の月商1.6億円は、ホントにヤバい数字です。

西麻布の交差点にあるグローバルダイニング社の「権八」が、全盛期に月商1.3億円くらいを売り上げていたという話は聞いたことがありますが、コロナ禍を取り込んだ22年4月~23年3月の間で、1,6億円ですから、おそらく今期はさらに積んでくるでしょう。

しかしホントに凄いです……月商1億円売る店を一軒作って、そのお店だけを大事に守って余生を過ごすような生活……理想です。

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2010年度外食企業売上高伸長率で日本一となった株式会社エムグラントフードサービスの創業者オーナーです。2011年9月で会社設立から丸5年を迎えます。たった5年で総店舗数260店舗以上。売上高で165億円の社を作った軌跡の一部をメルマガにてお伝えします!

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