続々と報道されるウクライナ軍の損失
前回の記事 前回の記事 でも紹介しているが、ウクライナ軍、ロシア軍双方の情報を詳しく報告しているテレグラムのロシア語チャンネル、「ライバー」などを見ると損害の大きさが分かる。ちなみに「ライバー」はツイッターで英語チャンネルも持っている。例えば、ウクライナの反攻作戦の主力部隊である第33機械化旅団と第47突撃旅団の工兵大隊は、マラ・トクマチカの南の攻撃で大きな損失を被った。それらには、レオパルト2戦車、M-2ブラッドレー、レオパルト2R、IMR-2、ベルゲパンツァーなどの戦闘車両だ。ちみにレオパルド2Rは、69トンのディーゼルエンジンを搭載したレオパルド2A4戦車で、フィンランドのパトリア社が砲撃戦専用の車両に改造したものだ。フィンランドがウクライナに供与した6両のうち半数の3両を失った。
オープンソースの情報分析によると、ウクライナ軍が南部サボリージャ州や東部ドネツク州の攻勢でロシアから7つの村を奪取したものの、過去数日間に米国から供給された装甲車16台を失っている。
ウクライナにおける軍事装備の損失に関する視覚的証拠を収集してきたオランダのオープンソース情報サイト、「Oryx」によれば、ここ数日で破壊されたか損傷して放棄された16台の米国製ブラッドレー歩兵戦闘車は、アメリカがウクライナに与えた109両のほぼ15%に相当する。ブラッドレーは、ウクライナが戦争で失った3,600両近い軍用車両のうちの1つだという。
次の段階はNATOの有志連合軍の介入か?
おそらく日本では、ウクライナに不利な報道は極力抑制されるだろう。だから、ウクライナ軍がロシア軍の防衛線を突破できていないとか、ウクライナ軍の損失の大きさはまったく報道されないか、または報道されたとしても小さな扱いになるだろう。
ウクライナ、そして欧米にはウクライナの敗北というシナリオは存在しない。ウクライナの勝利以外のシナリオは考えられないのだ。先のテレグラムチャンネルの「ライバー」は、ドイツからポーランドに2つの鉄道路線で、膨大な兵器が輸送されている地図を公開している。こうした状況から見て、ウクライナ軍の反転攻勢はこれから本格化することは間違いない。
しかし、反転攻勢が成功すればよいが、失敗するとどういうことになるのだろうか?
CIAの元長官で米中央軍の司令官だったデビッド・ペトレイヤス将軍はウクライナ軍が負けそうになったら、ポーランド軍とルーマニア軍を主軸にしたNATOの有志連合軍の地上軍の派兵を昨年提案していた。
日本ではまったく報道されていないが、今週ある重要なニュースがあった。NATOの前事務総長のアンデルス・ラスムセンがNATO軍の有志連合の派兵を主張したのだ。