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ジャニーズ批判の松尾潔氏を損切りしたスマイルカンパニー炎上の余波。タレントたちは番組・広告市場から排除されつつある=今市太郎

ラジオ放送を聴いてみれば、はじめから想定できた山下達郎氏の弁明

ここからは9日に放送されたラジオ番組『山下達郎のサンデー・ソングブック』を聴いたうえで原稿を加筆しています。

もともと音楽番組ですから、はじめの数分だけこの話題について山下達郎氏がコメントするというのは最初からたいしたものではないことは予め予見できましたが、スピーチは番組の中ほどで行われました。

内容は一字一句書き起こしませんが、まず松尾事務所からは顧問料をいただくことで契約をしているので、スマイルカンパニーの所属タレントではないため解雇関係がない中で解雇には当たらないことを明らかにしています。

また松尾氏が仄めかしていたほど近しい関係ではなかったようで、年に数回メールでやり取りする程度の距離感であったことも明らかにしています。松尾氏との事務所の社長判断にゆだねる形で契約終了となったのは間違いないが、山下氏自身がそのプロセスに関与したことは全くないとのこと。

松尾氏がジャニー喜多川の性加害問題に対して一方的に憶測に基づいて一方的な批判をしたことが契約終了の一因であったことも認めています。ただ、ほかにも理由がいろいろあることも示唆しており、いろいろな材料が重なってこうした事態に陥ったことも口にしてます。

山下氏自身はジャニー喜多川の性加害については一連の報道が始まって初めて知ったとのことで、それが事実なら第三者委員会などを通じて明らかにすべきではあるものの、自分は何も知らないのでコメントの出しようもないとしています。

ただ山下氏の個人的感情でいえば、ジャニー喜多川が育てた才能あるタレントが多く輩出されたことについては今も高く評価しており、ジャニー氏への御恩は忘れないし、同氏のプロデューサーとしての才能は今も高く認めているとのこと。

ただし社会的、倫理的意味での性加害を容認するのは全くの別問題であると考えているそうで、ジャニーズ事務所に所属するタレントにも提供された楽曲にも何の罪もないと言い切っています。

このような山下氏の姿勢を忖度や長いものに巻かれていると解釈するならそれでも構わない。そう解釈する人には自分の音楽は不要であろう…と締めくくっています。

全般、山下氏らしい物言いになっており、絶大なファンはこのスピーチにかなり納得したようですが、それでも納得のいかない部分は残ります。

あえて火中の栗を拾わないはずの戦略が完全に裏目に出る始末

今回スマイルカンパニーが猛烈に問題視した松尾氏のジャニーズ事務所やジュリー社長に関する発言は、一般人の視点から見れば常軌を逸した過激なものではなく、あくまで冷静で全うな意見であったといえます。

またその指摘が一方的な憶測に基づくものであるという点にも、大きな齟齬を感じさせられます。

業界関係者が一切口を閉じて当該案件に対して何も発言しない中で、松尾氏が積極的にツイートしたことは間違いありませんが、ジュリー社長はまずは記者会見を開催すべきと言ったことや、タレント優先の原則を死守しなければこの国のこの業界は滅びると発言したこと、さらにジャニーズ問題はメディア全体のあり方の問題であるとしたことなどが“一方的な憶測に基づく批判である”と括ったのには相当な違和感を覚えさせられました。

1965年以降、延々と自社所属の青少年を強姦しまくって今やギネスブックに載るのではないかというご本人の重大な性犯罪疑惑は、その事業の上で成立してきたものでしょう。ジャニー氏の才能やジャニー氏への個人的恩義は別ものという山下氏の発想は一見、正しそうに見えますが、果たしてこの戦後最大の青少年への性加害問題の存在とご本人の高いタレント輩出&エンタテイメントを構築する才能を別のものとして評価できるのかどうか。これについては相当に大きな疑問が残るところで、まさに自己都合に落とし込む詭弁と捉えられても仕方ないものを感じます。

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