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なぜ富裕層と業者だけが笑う「ふるさと納税」をやめないのか。大都市から税金流出、寄付受け入れ側でも赤字自治体が続出する闇=神樹兵輔

自治体に寄生する「返礼品」業者や「広告サイト」などの周辺業者だけが儲かるバカバカしい制度

次に甘い汁が吸えるのは、自治体に返礼品の調達先に選ばれた地場産品の業者です。楽して売上アップが見込めるからです。

しかし、しょせん地方産業の振興のために役立っている――といっても、自治体にへばりつき、ぶら下がる一方では、地場産品業者の成長も覚束ないでしょう。

自治体への寄生を助長させているだけだからです。

結局、地方自治体が返礼品競争のために広告を載せている、いくつかの専用ポータルサイトが非常に楽をして、しこたま儲けているのです

バカ高い「ふるさと納税」ポータルサイトの広告掲載料

サイトの広告掲載手数料は、なんと寄付額の10%程度もするのです。たかがネットに載せる広告ぐらいで高過ぎるでしょう。

こうしたポータルサイトの複数企業に2社~3社と掲載広告を増やせば、これだけで10%どころか、20%・30%と費用も跳ね上がっていくのです。

こうして見ていけば、おわかりの通り、「ふるさと納税制度」において、寄付金受け入れの自治体自体は、大して潤わないのです。

自治体間で税収を奪い合うだけの、ゼロサムゲームといってよいからです。

寄付額の30%が地場産品の調達で消え、10%~30%が広告代に消え、さらに10%が運営事務費に消え、梱包パッケージと送料で10%が消えるからです。

これらを合計すると、寄付額の60~80%が自治体の外部に消え、当の自治体には20~40%程度しか残らないのです。

複数の広告を出せば出すほど、自治体に残る寄付金額は減り、最後には10%から20%程度しか残らない――といった自治体までもが増えてきたのです。

Next: 即刻やめるべき。流出する税収移転分の相殺で赤字自治体が増えていく

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