市場の期待と乖離する日銀判断
それでも「国際金融村」の事情を知らない一般市場関係者は、インフレが高進すれば日本もいずれ緩和の修正が求められると理解しています。
今週の日銀決定会合に対して、市場の期待は週末にロイターが「現状維持」の報道をしたこともあって一時に比べるとYCCの修正、撤廃の期待は後退していますが、まだ根強い期待はあります。
そして今回YCCが撤廃されなくても、その後の9月・10月には撤廃されるとの期待が強くなっています。特に、今回の「展望リポート」では今年度の物価予想が2%超となり、24年度も2%に達する上方修正がなされる可能性が高いだけに、緩和修正の期待は高まります。
これが為替には円高要因となり、また金融株が買われる要因となっていました。しかし、先のECBフォーラムで植田総裁は「基調のインフレはまだ2%に達しない」と説明しています。欧米の「コア」に相当する「コアコア」がすでに2%どころか4%を超えている中で、何をもって「基調のインフレ」とするのか、疑問符が示されていますが、唯一、日銀が提示している「加重中央値」がまだ2%に達していません。
しかし、より認知度の高い「刈り込み平均」や「最頻度上昇率」は2%を大きく超えていて、「基調のインフレ率が2%に達していない」との説明は一般には通用しません。
それだけに、市場も次第に日銀の緩和修正を見始めたのですが、日銀には国際金融資本、及びこれを代弁する欧米の中銀からの圧力がかかっています。
日本の事情だけでは緩和の修正ができず、結果として市場に失望を与えることになります。
実質金利大幅マイナスの円に見切り
その結果、インフレが進み、金利は低位のままなので、実質金利は大幅なマイナスとなります。あるいは金融資産の大幅な目減りが進みます。これに耐えられない預金者、債券保有者が次第に円に見切りをつけ、ドルや海外資産に移す動きが出てきます。高齢者より若い世代がより積極的にシフトさせるようです。
その結果、日本からの資金流出が高まり、為替は円安に振れます。併せて国内の資金需給は資金が海外に流出する分、引き締まりの方向となります。それが金利には上昇圧力となりますが、日銀がこれも吸収して緩和を維持すれば、さらに円安となります。政府財務省は外資を日本に導入したいので、円の先安観を出さないよう、円安警戒のトーンを示していて、日銀との認識ギャップが大きくなっています。
それでも国際金融資本にすれば、まさに円資金を欧米市場に導入できるわけで、FRB・ECBの急激な引き締めを緩和する効果があります。
日本人が円に見切りをつけるようになれば、まさしく国際金融資本の狙い通りとなります。
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