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もはや欧米のための日銀政策。日本からの資本流出を画策する欧米中銀と逆らえない植田総裁=斎藤満

今週末に日銀は決定会合を開きます。このインフレ高進に緩和修正の期待が出ていますが、先のECBフォーラムを見ると、国際金融資本から日銀に対して欧米の金融引き締めの尻拭いのために緩和を続け、日本のカネを欧米に回すよう圧力をかけられている様子。値上げラッシュの状況にも、植田総裁は「基調のインフレはまだ2%に達しない」と説明しています。このまま緩和を続けると、外国人にやさしく、日本人には暮らしにくい経済を作ることになります。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2023年7月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

ECBフォーラムで圧力?

今週末に日銀は決定会合を開きます。そのヒントになりそうなのが、6月下旬にポルトガルで開かれたECBフォーラムです。

4中銀総裁パネル・ディスカッションでは、ECBのラガルド総裁とBOEのベイリー総裁がにこやかに笑顔を振りまくなかで、日銀の植田総裁は暗い表情で他の3人から浮いた存在でした。「中央銀行ムラ」に入れてもらえないかのような、孤独な存在でした。

司会役のCNBCのサラ・アイセン女史から日本の物価について問われると、「基調のインフレ率はまだ2%に達していない」として、粘り強く金融緩和を続けると答えていましたが、他のメンバーは白っとしていました。日本と欧米の政策乖離について、女史から「政策協調はないのか」と問われ、欧米メンバーが黙りこくるなかで、植田氏は苦し紛れに「情報連携はしている」と答えるのがやっと。

少なくとも欧米中銀の3人の総裁(議長)と植田総裁とは対等な関係に見えず、日銀だけが下に見られている印象が拭えませんでした。国際金融資本から日銀に対して欧米の金融引き締めの尻拭いのために緩和を続け、日本のカネを欧米に回すよう、圧力をかけられているようです。

日銀としては緩和を続けるエクスキューズを示す必要があり、それが「基調としてのインフレがまだ2%に達していない」の説明となりました。

欧米は利上げで良いとこ取り

CNBCのサラ女史が指摘するように、FRBやECBが金融引き締めでインフレを抑え込みたいのなら、日銀など他の中銀も「政策協調」で引き締めに付き合い、蛇口から水が漏れないようにするのが正道です。

かつては緩和も引き締めも政策協調がなされていました。

ところが、近年はこの政策協調が見えなくなり、欧米が金融引き締めを強める中でむしろ日銀、中国人民銀行は金融緩和を続けています。中銀がみな引き締めれば、経済が持たないため、日本と中国は欧米の引き締めに対する「尻拭い」の緩和を求められています。

欧米にしてみれば、高金利で通貨が上昇し、これがインフレを抑え、日本や中国からの資金流入で引き締め効果を緩和します。経済に大きな打撃を与えない形で高金利政策を続け、インフレを抑制する「ソフトランディング」を画策しています。日本や中国の資金を導入するために、日中は低金利、緩和を続けることが彼らには望ましいことになります。

世界規模の政策協調は終焉し、国際金融資本に都合の良い「協力」を求められるようになりました。

Next: 市場の期待と乖離する日銀判断。日本からの資金流出が加速している

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