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安倍首相「リーマン危機前夜」に世界が失笑。伊勢志摩で日本が失ったもの=斎藤満

選挙後は株価下落のリスク大

株式市場には「5月に売って10月まで買うな」との格言があります。

それでも今年は夏に参議院選挙があり、選挙での勝利を最優先する安倍政権では、それまでにあらゆる手を使って株価を押し上げる、との思惑があります。

サミットはその材料と考えられたのですが、ここまで見たように、これといった成果はなく、自ら率先して積極財政に出ることだけが頼りとなります。

しかし、格付け会社に言わせると、消費税増税の延期は格下げ要因と言います。S&P社の長期格付けによると日本は現在A+となっていますが、ここから格下げされた場合、日本の国債は良いとしても、企業の社債格付けにとって国の格付けが上限となるため、企業が格下げされ主要企業の資金調達コストが高まります。

これは企業収益を悪化させ、株価には下げ要因となります。

追加緩和を期待しにくい6月日銀会合

その後、6月中旬には日銀の決定会合があり、通常であれば選挙前でもあり、円安につながる追加緩和を期待するところです。

ところが、今回のサミットでは通貨安がけん制され、日銀はマイナス金利策の拡大で円安を狙うことが難しくなっています。米国が反発するためです。円安誘導が難しくなれば、これで株高を期待するわけにもいきません。

このため、「選挙までは株高」の見方も、今回はあまり通用しません。そしてその選挙が終われば、市場はここぞとばかり売りに出る可能性があります。そこで1つ考えねばならなくなるのが「ヘリコプター・マネー」の考えです。

サミットで日本が率先して積極財政を表明しましたが、財源がありません。日銀も追加緩和をしたくても、マイナス金利の拡大は難しい状況です。

そこで、政府が国債を増発して支出を拡大し、その国債を日銀がひたすら買い取ることで、事実上の「ヘリコプター・マネー」を進める考えです。批判はありますが、金融財政が行き詰まる中では、これしかないと、居直った面もあります。

これは金融財政それぞれの規律を無視した「秩序破壊型」の発想で、これを続ければ、円資産の信用低下、円安、株安につながりますが、短期的には大規模な財政金融緩和による円安をはやして株価が上昇する可能性があります。

Next: 伊勢志摩サミットの“失点”で自縄自縛に追い込まれた日本

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