定年直前で資産ゼロでも家があれば何とかなる
サラリーマンには、退職金が出ますから、現役時代に老後の蓄えが無くても、何とかなる場合も多いでしょう。退職金の代わりに企業年金がもらえる場合もあるでしょうが、支給されるタイミングだけの問題ですから、同じことですね。
個人差は非常に大きいでしょうが、遺産も受け取れるかも知れません。平均的な日本の高齢者は結構な額の金融資産を持っていますし、「長生きしてしまったら老後資金が底を突いてしまうかも知れない」という不安から質素に暮らし、結局それほど長生きせずに遺産を残す、という人も多いようですから。
もっとも、家が無いと苦しいかも知れません。
老後も借家に住むとなると、長生きをした場合に延々と家賃を払い続けなければいけませんし、インフレが来て家賃水準が上がっていくリスクもあるでしょう。
現役世代にとって自宅に住むべきか借家に住むべきか、というのは専門家の意見がわかれる所ですが、筆者としては「老後は自宅に住む方が圧倒的に安心で、そのためには、現役の時に家を確保しておくべきだ」と考えています。
早めに家を買って、定年までに住宅ローンを払い終えておければ老後が安心ですからね。
足りなければ働いて生活を見直して、それでも足りなければ節約しよう
老後資金が足りないと感じている人も多いと思いますが、「足りないから節約しよう」と考える前に、働いて稼ぐことと、生活を見直すことを考えてみましょう。
今の高齢者は、元気な人が多いので、働ける間は働いて稼げば良いのです。
働くことは、収入の面のみならず、社会との接点が持てますし、世の中に必要とされているという自己肯定感も持てるかも知れません。
ひと昔前までは、高齢者は仕事を見つけるのが大変でしたが、今は少子高齢化による労働力不足の時代ですから、高齢者でも探せば仕事が見つかるはずです。
配偶者も、子育てが一段落したら働いて稼げば良いのです。できれば厚生年金に加入するような働き方を選びたいですね。厚生年金保険料を支払う必要が出てきますが、老後に厚生年金が受け取れるのは安心材料として大きいですから。
生活の見直しも、ぜひ試みましょう。ケチケチするというのではなく、大きな支出項目について、本当に必要なのか、じっくり考えてみるのです。
たとえば、自動車は必要でしょうか。田舎では必要でしょうが、都会なら公共交通機関を使えば良いのではありませんか?
筆者は自動車を持っていません。自動車にかかる費用を計算すると、とても大きな費用なので、自動車を手放しました。タクシー代は相当大胆に使っていますが、それでも費用は減っています。
費用面以外にも、駅まで歩く、駅の中を歩く、ということで運動になります。もしかして、スポーツジムの年会費も不要になるかも知れません(笑)。
子育て中は郊外の大きな家に住んでいたとしても、老夫婦2人になったら都心の小さなマンションに引っ越しませんか。買い物等が便利ですし、掃除も戸締りも楽ですし、一戸建てより暖かいので老夫婦には良いかも知れませんよ。
そうした工夫をしても、なお老後資金が足りない場合には、仕方ないのでビールを発泡酒に変える必要がありますが、可能であれば生活の潤いは残したいですからね。
(筆者注:本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。)
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2023年9月20日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による