あなたは家計簿アプリを使っていますか?今回は代表的な家計簿アプリであるマネーフォワードMEを運営する、マネーフォワードの経営分析を行います。同社は、赤字が続いている企業です。なぜ赤字から抜け出せないのか?今後はどうなってしまうのか?を解説します。ぜひあなたの投資に役立てれば幸いです。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
家計簿アプリが主力ではない
まず、マネーフォワードがどのような会社なのかを把握しましょう。
実は、私たちが使っている家計簿アプリがメインの商品ではありません。
法人向けの商品が主力です。具体的にはバックオフィスの業務効率化ソリューションを提供するマネーフォワードクラウドが最大の収益源と言えます。
その次に消費者向けの家計簿アプリのマネーフォワードMEによる収入が続きます。その他には、金融機関向けにデジタル通帳や決済サービスなどを提供しています。
出典:22年11月期 決算説明資料より作成
実は上場以来「赤字」続き
「時代の流れに合っているフィンテック企業だし、家計簿アプリも便利だから儲かっていそう」と思う方もいるようですが、経営状況は芳しくありません。
売上高は伸びているものの、2017年の上場以降、赤字が続いているのです。
出典:各年度 有価証券報告書より作成
なぜ売上は伸びている?
まずは、なぜ売上が伸びているのかを考えます。
当然課金ユーザーが増えていることもありますが、対法人においては、顧客の成長とともにマネーフォワードの収益も拡大するビジネスモデルであるためです。法人向けの料金表を見てみましょう。
基本料金の年間4万円〜6万円に加えて、利用人数に応じて発生する追加料金やオプションが発生します。従って、マネーフォワード クラウドを利用している法人が成長するほど、料金が追加されます。また、人数が多い企業ほどこういった基幹システムは変更しづらいため、解約率の低さにつながっています。
一方で、対個人では無料ユーザーが課金ユーザーへ変化している現状があります。あなたも感じたことがあるかもしれませんが、マネーフォワードMEは無料ではもはや使い物になりません。課金をすることで家計簿を詳しく管理できる仕組みになっています。
これが、法人・個人共に売上高が伸びている仕組みです。
一見、面白いビジネスモデルですが、なぜ赤字が続いているのでしょうか?