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上場以来ずっと赤字「マネーフォワード」株は買い?インボイス制度を追い風に急成長なるか、資金繰り悪化が先か=佐々木悠

現金が底をつくのはいつか?

マネーフォワードは売上が伸びているからといって、永遠に事業投資できるわけではありません。いつか必ず現預金の底がきます。このままのペースで現金を使いつづけた場合、一体いつキャッシュの底を迎えるのでしょうか?

キャッシュフローの動きをみてみましょう。

21年から22年の間で、現金及び現金同等物の残高は360億円263億円と約100億円減っています。

当然利益は出ていませんから営業キャッシュフローは41億円のマイナス。

一方で22年はM&Aを行った影響で投資キャッシュフローは147億円の流出がありました。

「投資額約150億円に対し、現金は100億円しか減っていない。どこから持ってきたの?」ということになりますが、借入です。

財務活動によるキャッシュフローは+90億円、つまり、借入してもなお、現預金を減らしながら投資活動を行っている、という状況なのです。

今後、年間50億円の投資を行った場合、(借入もせず利益も出さずという前提)現預金は約250億円ですから、5年で底を突く計算です。余裕がある状況ではないことは確かです。

「またお金借りれば良いじゃん!」と思われるかもしれませんが、銀行は無制限にお金を貸してくれるわけではありません。さらに、財務状況が悪い企業には、貸出金利を高めに設定しますから、金利負担が増えていくことも想定されます。

24年11月期では黒字化するのか?

さて、このような状況の中で、黒字化する未来は訪れるのでしょうか?

ここまでの説明をもとに24年11月期の決算を計算してみましょう。

【前提条件】

売上=法人顧客数×単価+個人顧客数×単価

法人顧客数はインボイス制度による顧客増を考慮しFY22からFY23で50%増。FY23からFY24は需要一服するとして20%増。

個人顧客数は四半期あたり1万件ずつ増加する。

なおFY23 2Q時点の顧客数は、法人/個人=27万件/50万人。

単価は法人が65,000円、個人が8,000円で固定

原価はFY23 2Q時点で52億円であるため、通期で100億円とする。

広告宣伝費は過去最低圏の売上高広告宣伝費率である10%を適用する。

販管費(除く広告宣伝費)はFY23 2Q時点を基準に231億円とする。

――――――――――

結果、24年11月期の損益は

売上319.7−原価100−広告宣伝31.97−その他販管費231=△43億円の赤字となりました。

従って、広告宣伝費率を落とすだけでは黒字にはならずさらなる売上の拡大人件費や外注費などの削減の削減を視野に入れる必要があるものと考えます。

現実的には、競争が激しい中で広告宣伝費率を本当に落とせるのか?という問題もあります。一方で、売上拡大にはいかに解約されない仕組みを作り上げるか?が重要だと考えます。基本的には従量課金制であるため、解約されなければ売上は伸びていくはずです。

新規顧客獲得のための広告宣伝と、既存顧客の解約防止、やるべきことはたくさんあるのです。

Next: 投資して良い?プロ長期投資家の判断は……

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