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政府の呆れたデフレ認識。的外れの「賃上げ政策」で格差拡大、人手不足倒産が続出へ=斎藤満

それ以外は賃金物価の悪循環に

労働生産性を上げないでただ賃金だけ上げさせると、それは企業にとって大きな人件費というコスト増になります。そのままでは企業収益が減るので、通常企業はそのコスト増分を価格に転嫁します。このため、賃上げが次の物価上昇をもたらし、全国的に広がると、日本経済は賃金・物価の「悪循環」に陥ります。

せっかく賃金を上げても、企業がその分価格を引き上げ、インフレが進めば、なかなか実質賃金は改善せず、この1年半のように、賃金上昇以上に物価が上がって実質賃金の減少が続いてしまいます。賃金についてはまだ賃上げで対応できますが、一方で個人が保有する金融資産という購買力はインフレが続く間目減りしてゆきます。

通常、インフレになれば金融当局が利上げをして引き締めるので、金利が上昇してインフレによる目減りをある程度カバーするのですが、現在の日銀はインフレを抑えようとせず、2年も2%以上の物価上昇(帰属家賃を除く総合)が続いているのに、政策金利をマイナス0.1%のまま据え置いています。

このため銀行の預金金利は0.001%という「ゴミ」のようなものしかつかず、とてもインフレをカバーできません。

対策のコストを誰が負担するか

政府は賃上げを目指して政策を総動員するといいます。

賃上げする企業には減税の恩恵を与え、パートで働く人の年収を106万円以上にする企業には補助金を出す考えもあるようです。

しかし、その財源は誰が負担するのでしょうか?

結局、国民が増税で負担するか、国債発行で子どもや孫の世代にいずれ負担させようということになります。

これでは空腹のタコが自分の足を食べて腹を満たすようなもので、問題の解決にはなりません。

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