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団塊の世代、2025年に全員が75歳以上に。医療・介護・障害福祉の報酬「トリプル改定」で“長生き地獄”は変えられるか?=原彰宏

高齢者が増え、必要なサービスも複雑化

トリプル改定に向けて制度横断的な意見交換会がなされました。

医療側の「中央社会保険医療協議会総会(中医協)」と介護側の「社会保障審議会介護給付費分科会(介護給付費分科会)」

話し合われた内容は以下のとおりです。

・地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携
・リハビリテーション・口腔・栄養
・要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療
・高齢者施設・障害者施設等における医療
・認知症
・人生の最終段階における医療・介護
・訪問介護

医療・介護・障害サービスの包括的連携を中心とした「地域包括ケアシステム」を、改定の基本にしています。

※参考:【2024年度】医療・介護・障害のトリプル改定とは? – ファルマラボ(2023年10月16日配信)
※参考:2025年問題とは?医療・介護への深刻な影響を解説 – ファルマラボ(2022年2月14日配信)

このような話になると、医療給付費(保険制度から医療機関の給付するもの、窓口負担以外の診療報酬)が右肩上がりに増えてくるので、制度維持のために患者自己負担額を増やし保険料そのものを引き上げるという議論になります。

すべては、国民皆保険などの日本の医療制度維持のためです。

国民の負担はさらに増えていく

「高齢者の介護保険料、引き上げ検討」日経新聞(2023.11.3)
「後期高齢者、健康保険料上限14万円上げ改正健保法成立」日経新聞(2023.5.12)
「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」厚生労働省

これらのニュースが出るたびに、マスコミでも一応は騒いではいましたが、国民皆保険制度維持、社会保障制度維持の大義名分の前では、みんな渋々、自分自身を納得させてきたのではないでしょうか。

医療制度など、すべての国民の健康をケアする制度において、給付を必要とする高齢者の増加と保険料負担側の若年層の減少により制度の収支が成り立たなくなるという、一見当たり前の資本主義の論理なのですが、この資本主義の論理を、国民の健康を維持する制度に当てはめるのは最初から無理があるのではないでしょうか。

皆保険制度と資本主義の論理はなじまないのではないでしょうか。

小泉厚生大臣のときに導入した介護保険も、当時制度のあり方を、税方式でするか保険料方式でするかの検討がなされていました。

個人的には財政の問題もあるでしょうが、医療制度は税方式にすべきだと主張します。国が国民の健康を守るという姿勢を取るべきだと考えます。

制度維持のための収支バランスで、自己負担額を引き上げ給付を下げるというのは、制度の主旨に反するような気がするのですがね。

Next: 本当に無理なの?「社会保障維持のために消費税は必要だ」

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