fbpx

一極支配の世界の終わり…日本は「米国のポチ」のままでいられるのか?2つの戦争がもたらした変化=斎藤満

米英イスラエルなどによる世界一極支配が行き詰まりを見せています。国連総会は今月12日、イスラエルがパレスチナのガザに進行する戦闘について、緊急特別会合を開催。そこで「人道目的による即時停戦」決議を、153か国の賛成で可決しました。これに反対したのは、イスラエルや米国など10か国にとどまり、世界がイスラエルの強硬姿勢に反発を表明するようになりました。そのなかで日本は、いつまでも第二次大戦の敗北に引きずられ、「米国のポチ」でいるわけにはいきません。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

【関連】30年ぶり賃上げがもたらす最悪の格差社会。恩恵のない弱者と年金生活者は物価上昇で火の車=斎藤満

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2023年12月20日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

世界一極支配に「行き詰まり」

米英イスラエルなどによる世界一極支配が行き詰まりを見せています。

国連総会は今月12日、イスラエルがパレスチナのガザに進行する戦闘について、緊急特別会合を開催。そこで「人道目的による即時停戦」決議を、153か国の賛成で可決しました。

これに反対したのは、イスラエルや米国など10か国にとどまり、世界がイスラエルの強硬姿勢に反発を表明するようになりました。

この世界的世論の動きを見て、米国のバイデン大統領もこれまでのイスラエル全面支持の姿勢を修正。一般市民の犠牲者を増やさないよう、配慮を求めました。イスラエルのネタニヤフ首相との距離感が目立つようになりました。

ねじれる2つの戦争

現在、ウクライナとイスラエルとで、2つの戦争が同時進行しています。

ウクライナ戦争はNATOの東進が刺激となってロシアがウクライナ・NATO連合軍を相手に戦っています。そして今年10月7日にはハマスがイスラエルを急襲、イスラエルはこれを機に「ハマスせん滅の戦争」を開始しました。

これらの戦争、ある意味では米英やイスラエルを中心とした「世界一極支配勢力」と、ロシアやアラブなど多極化グループの闘いとも言えます。世界一極支配勢力は、世界の分断・紛争を利用して自らの世界支配を進めようとします。

ウクライナ戦争では彼らがウクライナを利用してロシアを戦争におびき出した面があり、ロシアの力を疲弊させようともしました。

イスラエル戦争では一極支配勢力が裏でハマスに武器弾薬と情報を与え、イスラエルを急襲するよう仕向け、イスラエルはそれを承知の上で犠牲者を出し、怒りと怨念をエネルギーとしてハマス、したがってパレスチナ人の一掃を企てた、との見方があります。ハマスを凶悪なテロ組織とあおって、そのせん滅を正当化しようとしました。

このうち、先に始めたウクライナ戦争が、意図に反してウクライナ・NATO連合の苦戦となり、NATOにウクライナ支援疲れが見える一方、ロシアが勢いを強めています。分断・紛争で世界を不安に陥れるまでは作戦通りでよかったのですが、核保有国ロシアを追い詰めてはいけないと配慮する間に、ウクライナ・NATO連合が劣勢となっています。

一時はロシアの劣勢が盛んに報じられ、ロシアの敗退は時間の問題との認識が広がり、ウクライナ市民の悲劇報道は限られました。このため、イスラエルに対するものと異なり、人道的観点からロシアを非難する動きは高まらず、逆にロシア支援の国も少なくありません。米国は共和党の反対でウクライナ支援の予算が組めず、「金の切れ目が縁の切れ目」になりかねなくなりました。

ウクライナ戦争の行き詰まりから、世界支配勢力は舞台をウクライナからイスラエルに移した面もあります。「9.11」や「パールハーバー」にならって、ハマスをテロ組織に仕立て上げ、これを一掃する戦争を正当化しました。そして、圧倒的な軍事力の差からイスラエルが圧勝の状況となりました。

つまり、世界一極支配勢力からみると、ウクライナ戦争は劣勢となり、イスラエル戦争では圧勝と、「ねじれ」現象が見られます。しかも、イスラエルの圧倒的軍事力からパレスチナの一般国民が多数犠牲になる状況が連日報じられ、イスラエルが逆に世界から敵視されるようになりました。

Next: 行き詰まった一極支配……いま日本の立ち位置が問われている

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー