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なぜ日本は世襲議員だらけなのか。世界最高レベルの「議員待遇」を手放さないカネの亡者たち=神樹兵輔

「週刊文春」と「しんぶん赤旗」が頼りの日本のマスメディア!

日本のマスメディアは、すっかり政権と癒着してしまい、もはや、大事なマスメディアの役割である「政権監視」も、「政権批判」もできなくなったというわけです。

ゆえに、他の雑誌メディアのスクープ記事に便乗するしか、新ネタの記事は扱えないのです。

今や、調査報道でスクープを放ち、政界、経済界、芸能界、社会全般の闇をえぐってくれるメディアは、「週刊文春」と「しんぶん赤旗」ぐらいしかない――といった哀しい現実を、私たち日本国民は噛みしめるべきでしょう。

大手のマスメディアは、口をあんぐりあけて、「週刊文春」と「しんぶん赤旗」がスクープを放ってくれるのを、ひたすら待ち受けるだけの、後追い貧困メディアになり下がっているのです。

もちろん、かつての「噂の真相」や「週刊文春」の告発記事であっても、「ジャニーズ性加害問題」はイギリスBBCの告発映像がなければ、日本のマスメディアがそろって無視し続け、スルーしてきたのは記憶に新しいところです。

日本のマスメディアは、権力や強者、スポンサーには、からきし弱く、迎合する――こういう体質で、戦前の「軍部礼賛・大本営発表」垂れ流しシステムに先祖返りしているだけなのです。なーにが、「中立報道」だの、「両論併記の記事」構成でしょうか。タテマエこいてるんじゃねーよ、嘘つくんじゃねーよ!癒着しているだけだろうが!――と罵声を浴びせてやりたいところです。

マスメディアがここまで堕落すれば、たしかに大手新聞などに、カネを払って購読する価値もないので、読者は離れ、大幅に部数を激減させるのも無理からぬところでしょう。

若者たちは、批判も中身もない記事を読むよりも、無料の「Yahooニュースの2~3行記事」だけで、十分ともなるのです。ちなみに、新聞発行部数は過去20年間で2,000万部減少し、10代~30代の新聞購読率は1割台から2割台弱がせいぜい。60代以上がようやく5割にギリギリ届くのがやっとという状況になっています。そして、これから先は、もはや誰も購読しなくなるのかもしれません。

まったく、今日のニッポンの凋落は、旧安倍政権の10年間が、見事にマスメディアにも「トドメ」を刺して、権力批判を封じ込めた時代――としても象徴されるのではないでしょうか。

政治家になれば「個人資産」や「一族の資産」を形成するのは簡単!「カネの亡者」になるために政治家を志す者ばかり

なぜ政治家は、税金の支払いが少なく、どんどん肥え太ることができるのでしょうか。

それは、「10・5・3・1(トー・ゴー・サン・ピン)」の税金捕捉率の語呂合わせ通りだからです。つまり、税務当局はサラリーマンの所得を10割把握、自営業者の所得は5割把握、農林水産業者の所得は3割把握、政治家の所得は1割だけ把握――という構図だからです。

政治家は、ロクに税金も払わずに、私服が肥やせるのです。これはもう、もともと他の先進国の議員と比べて、日本の議員としての報酬や待遇がものすごくよすぎることに加え、政治資金を無税で継承し、議員職を代々世襲できることが大きな要因としてベースにあるからです。そのうえ、政党交付金もタンマリ貰えます。

もちろん、世襲しない場合でも、政治資金をちゃっかりもらった個人もいるにはいます。政治家の夫の「政治資金」という名のカネを2億1,000万円も無税で「継承」し、相続税ゼロで受け取った故・安倍晋三元首相の妻の安倍昭恵氏という人がそうだからです。安倍昭恵氏は、安倍元首相の5つの政治団体のうちの1つ「晋和会」を「私人」でありながら、無税で継承し、他の4つの政治団体のカネをここに寄付させて集約したのでした。

この中には、国民の税金からなる政党交付金(1人当たり250円で年間総額320億円)の受入窓口である「自由民主党山口県第4選挙区支部」からのカネも含まれています。本来、返還されるべき税金原資のカネまでもが、こうした形で個人に帰属してしまいます。

ちなみに、この「晋和会」の相続はこれで2度目であり、故・安倍晋三氏自身が、父親の故・安倍晋太郎元外相から、個人献金として1991年に6億円を無税で継承していたのです。このことは、2007年の第一次安倍政権末期に「週刊現代」が、すでに時効を迎えたものの、個人献金なら「相続税が3億円にものぼる脱税疑獄」だと報じていたものです。本当にタチが悪い政治絡みのカネなのです。

そもそも、政治献金の受け皿となる政治団体は無税で継承できる仕組みなので、当選に有利にはたらく「地盤・カンバン・カバン」の3バン(「地盤」…地元の後援会組織、「看板」…親の代からの知名度、「カバン」…政治資金団体の金)をもつ世襲はそれだけ増殖しやすいのです。バックのない新人候補は、極めて不利なのです。ゆえに自民党の国会議員は、世襲議員が4割にも及ぶのです。

政治資金規正法は、建前上は政治家個人への献金は禁止ですが、政党支部や政治団体(資金管理団体)は議員が事実上支配しています。自前の団体のカネは自分のカネになります。「言葉遊び」にすぎない政治資金規正法の取り扱いにすぎません。こんな見え見えの政治資金規正法の改定がまかり通っているわけです。ゆえに無税でカネが貯えられ、無税で身内個人へも継承されるのです。

06年に「週刊ポスト」が報じて発覚した事件では、小沢一郎衆議院議員の政治団体「陸山会」が、ゼネコンから得た6億円余の政治献金で土地を購入し、小沢氏個人の名義で登記していたことが問題となりました。このように、堂々と政治団体経由で個人資産も形成できるわけなのです。ゼネコンから6億円とは、さすがはかつて「大物」「壊し屋」の異名をとったことのある2代目世襲議員です。いまはなぜか立憲民主党に所属して、古巣の自民党批判を時々やっているようです。

政党は、こうした献金とは別に、国から政党交付金を年間320億円も全体に配分されているのですから、企業・団体献金やその偽装に使われる個人献金なども、どのみち賄賂なのですから、一切禁止すべきなのですが、こうした醜怪な構図はまだまだ続いていくのです。

ちなみに、日本共産党は、憲法違反として政党交付金をこれまで一切受け取っていませんが、こういうバカバカしい「やせ我慢」は意味なし――と筆者は思います。

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