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なぜ日本は世襲議員だらけなのか。世界最高レベルの「議員待遇」を手放さないカネの亡者たち=神樹兵輔

年間80日議会にちょっと顔を出すだけで、県会議員の年収は2,000万円超!「視察」と称して、税金での楽しい海外慰安旅行もついてきます

世襲がゴロゴロ多いのは、地方議員(全国に約3万6,000人)の場合も同じです。地方議員など不要という声も根強くあります。筆者もそう思います。「二元代表制」など機能していないからです。

税金からの報酬目当ての兼業者が多く、年間70~80日程度しか議会に行きません。勉強もしないので行政の知識にも乏しく、首長の提出した条例案は修正されることなく、ほぼ丸呑みで(97%以上)通るのが地方議会です。たまに「議会通信」みたいな自分の宣伝チラシを新聞折込で撒いて、さも議員活動に毎日精励しているかのように装うだけです。

おまけに、議員提案のない地方議会が、全国で9割以上を占めています。地方議会でなく、「痴呆議会」なのです。せいぜい国政選挙の時に、所属政党の国会議員候補者の票の取りまとめの応援に駆り出されて、小遣いをせしめるぐらいなのです。

それでいて、一定数の人口がある自治体の議員報酬は、ものすごい高待遇になっています。都道府県議会議員なら政務活動費を含めて平均2,000万円超えです。市議で平均850万円、町議でも平均400万円です。

例えば埼玉県議(定数95議席)なら歳費が月額92.7万円で政務活動費が月額50万円で年間2,190万円にのぼります。さいたま市議(定数60議席)なら歳費が月額80.7万円、政務活動費が月額34万円で年間1,721万円です。「政務活動費」は、2012年に旧名称の「政務調査費」が改称されて使途が拡大しています。調査研究費、人件費、交通費、研修費、事務所費、広報費などが名目ですが、領収書が必要とされないケースも多く、所詮は「裏給与」「遊興費」と呼ばれます。

昔から地方議会では、歳費や政務活動費を、議員のお手盛りでどんどん上げてきたため、こんな高待遇になったのです。

諸外国では、地方議会は平日の夜開かれたり、一般サラリーマンの無報酬でのボランティアか、せいぜい年間の手当てが50万円以下がふつうです。日本だけが異常なのです。

ちなみに本文中で触れた国会議員の報酬についてですが、個人に入る報酬で世界一高いのはシンガポールです。円換算で1億円超となります。次いで2位が貧困国のナイジェリアで、6,000万円強になります。これまた異常ですが、3位の日本もナイジェリアと変わらない報酬額でしょう。4位がニュージーランドで、5位が米国ですが、いずれも日本円換算でも2,000万円台です。これぐらいがまあ、許せる範囲でしょう。

いかに日本の国会議員や地方議員の報酬や待遇が、異常に優遇されているかが、わかるのです。これらは、みんな議員たちが、お手盛りで議決して、報酬アップを図ってきた結果です。

日本の国会も地方議会もいずれも「会期制」です。ゆえに、会期中だけ議会に出席します。あとは何をやってるか不明です。会期制などやめて「通年制」にすべきでしょう。

都道府県会議員にいたっては、年間たったの80日程度議会に行って、居眠りする程度です。市議会議員でも、70日あれば御の字です。町村議員などは、年間40日程度議会が開かれるだけです。しかも、こうした議会は、朝から夕方まで開かれるわけではありません。いずれの議会の場合でも、平均所要時間は2時間前後です。時給換算するとものすごい高収入です。議上での居眠りの時間を差し引けば、とんでもない超高収入にもなるでしょう。

自民党の国会議員などは、会期中でも、ヤクザ顔負けの「利権・口利き」に精を出しているのでしょうから、「通年制」にして、とにかくそういうことをやれる時間を極力封じてやるべきです。

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