品質管理基準に満たないゴム製部品を納品した疑いが、一部メディアによって報道されたトーヨータイヤ。22日になり同社は「そのような事実はない」とのコメントを発表した。
取沙汰されているのは、19日に公開された週刊文春電子版の記事。それによると、トーヨータイヤがホンダの軽自動車「N-BOX」向けに納品しているゴム製部品に関して、管理基準から大きく外れているにもかかわらず、適合品だとホンダ側に“不正報告”し、納品していたとのこと。
記事内では「トーヨータイヤ設計部関係者」「トーヨータイヤ工場関係者」などによるコメントが紹介されており、複数の同社現役社員が今回の“告発”に関わっている模様だ。
東洋ゴム時代には数々の不正が露見
先週金曜日の午前中に公開されるや、瞬く間に話題となったトーヨータイヤへの“文春砲”だったのだが、週が明けるとすぐさまトーヨータイヤ側は、それを否定するかなり簡潔なリリースを公表。
先週19日の段階では、報道を受けて同社の株価が一時、前日比497円(19%)安の2062円をつけるなど、急落する格好となったのだが、22日になりその報道をトーヨータイヤ側が打ち消したことで反発する展開となり、同日の終値は2,355円まで回復している。
このように両者の言い分が現状真っ向から対立するなか、果たしてどちらが真実を語っているのか、乱高下する株価からしても、まだ判断しかねるといった空気が今のところは漂っているのだが、いっぽうでSNS上では「また不正」といった声も、一部からはあがっているところ。
また不正してるやん。終わってるわトーヨータイヤ。 https://t.co/ieLZ9z8wGb
— オビト⚡ (@dreamchamp15) January 21, 2024
《現役社員が告発》トーヨータイヤが「N-BOX」の部品をめぐりホンダに“不正報告”の疑い 〈管理基準を満足していない〉実験結果を伏せたまま納入か | 文春オンライン#トーヨータイヤ 品質不正は企業体質なのか?
安全性無視!またか!
https://t.co/rjDjfQIrYp— 二合半 (@tomodachigogo) January 19, 2024
トーヨータイヤまたやらかしたのかよ
おまえら免震ゴムの時のこと忘れたのか— エビでメダカを釣る男 ほっこりさんず◢⁴⁶ (@HideomiYamazaki) January 19, 2024
第二次世界大戦が終わった1945年に創立されたトーヨータイヤだが、もともとは東洋ゴム工業という社名で、現名称に変更されたのは2019年と最近のこと。
そんな社名変更が行われた、ある意味での“きっかけ”ではないかとされているのが、同社による度重なる不正行為の露見。2007年に同社製断熱パネルの耐火性能における偽装が判明したのを皮切りに、その後の2015年3月には、建物の揺れを抑える免震ゴムの性能データでも、同社により偽装が行われていたことが発覚したのだ。
この免震ゴム性能偽装問題では、社長ら代表取締役3人を含む生え抜きの取締役5人全員が引責辞任するという重大な事態となり、いわばゼロからの出直しとなったのだが、同じく2015年10月には、鉄道車両などで使われる防振ゴムでの不正行為が明らかに。
さらに2017年には、船舶向けのバルブに使われるゴム製品が、必要な検査を行わずに出荷されていたことが判明と、不正が立て続けに発生。言うなれば、もうすでに「二度あることは……」というラインは超えている状況ということで、今回の件もまだどちらの主張が真実なのかは判断しかねる状況ながらも、トーヨータイヤに対する訝しむ視線も少なからずあるといったところのようなのだ。
さらなる文春砲“追い撃ち”の可能性は?
いっぽうで週刊文春側の動きだが、最近の同誌といえば、昨今大いに話題となっている松本人志さんの件もしかり、手持ちのネタを一気には放出せず、小出しにしていくというのがいわば常套手段となっているが、今回の件においても日曜日の21日に「トーヨータイヤ「ホンダN-BOX部品“不正報告”問題」に新事実」という“二の矢”を放っている。
その中身は、今回の報道以前にトーヨータイヤ側は、ホンダへの“不正報告”を把握していた可能性があるというもので、社内で行われた調査も表面上のものに留まり「そのような事実なし」と結論付け、有耶無耶にしてしまったとの内容。
時系列的には、その翌日にトーヨータイヤ側は先述の通り、一連の報道を否定するリリースを公表しているわけだが、これまでの週刊文春の手法を考えれば、この後さらに第三、第四の矢が放たれる可能性も大である。
そうなると、先週末以降からのような株価の乱高下が、今後再び起こることも考えられそうなのだが、とはいえこれまで多くの政治家や芸能人の進退を左右してきた“文春砲”も、最近ではその的に掛けられた企業の株価にも影響を与えることもしばしばということで、一部からは「文春関係者はインサイダーし放題では?」といった声まであがる始末。
ふと思ったんだけど、文春(に限らないけど、新聞、雑誌、テレビ会社等)の役職員は株取引はできないんだよね? 大企業の内部告発を記事にするとき、株取引ができたら空売りを仕掛ければ大儲けできるけど、インサイダーの観点ってどうなるんだろうなと
— Chihayable (@chihayable_) January 22, 2024
文春関係者インサイダー取引してるやつ居るんじゃないのか
株価操作は逮捕者出そうだが— 野菜生活 (@yasai2535) January 22, 2024
TOYOTIREどうなってるんですかね?これがもし誤報だったら、松本氏の件なんて吹っ飛びますね。ましてやインサイダーなんてあったら、確実に文春はつぶれると思います。芸能人のスキャンダルと違って、みんな金を賭けてるからね。
— FIRLおじさん (@FIRL54062916) January 22, 2024
ちなみに松本人志さんの件だが、22日になり松本さん個人が文芸春秋に対し、名誉毀損による損害賠償約5億5,000万円と謝罪広告の掲載などを求めて提訴するという、長期戦は必至といった状況に。トーヨータイヤに対しても、松本さんと同じように「文春を訴えろ」といった声もあがるなか、今後同社は疑惑に関してどう説明し、立ち回っていくのか。今はその事態の推移を、多くの者が固唾を飲んで見守っているといった状況のようだ。
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