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悪徳業者だらけの住宅リフォーム業界…どうすれば優良業者が見つかる?業者紹介サイトもまるで信用できない悲惨な実情=神樹兵輔

「リフォーム会社の紹介サイト」は、お客を紹介しただけで、業者から「1軒あたり紹介料1万円~1.8万円」を受け取り、契約成立で工事料金の10%のバックマージンを得て収益源としている

インターネット検索で、「リフォーム」「外壁塗装」「水回り改修」といったキーワードを打ち込むと、いろいろな業者が目白押しに出てきます。

「優良リフォーム会社を紹介します。〇〇リフォーム協会」
「お近くの信頼できる4件のリフォーム会社を紹介する〇〇リビング・サービス協議会」
「全国1万社の塗装会社の中から『自社施工業者』だけを厳選して紹介する良心的な安心価格の〇〇サービス」

……などといったサービスを謳う「リフォーム紹介サイト」がずらりと列挙して登場してくるのです。

これだけでも、一般の素人にとっては迷わされ、いったいどこの紹介サイトを信用したらよいのかもわからなくなります。

選択肢が多くなるほど、人はどれも選べなくなる――と喝破したのは、コロンビア大学ビジネススクール教授のシーナ・アイエンガー博士でしたが、博士が唱えた通り、「選択は人生をコントロールするためのパワフルツールと言えるほど難しいもの」だからなのです。

ちなみに、ネットの「業者紹介サイト」は、問い合わせてきたお客を1軒ずつ加盟業者に紹介するだけで、紹介料が1万~1.8万円ほど得られるようになっています。

そして業者が工事を受注すると、業者から受注額の10%のバックマージンを得るのが「紹介サイト」です。

つまり、工事施工見積り価格の中には、10%の紹介サイト利用料が含まれることになるわけです。これだけで10%なのです。

こういう仕組ですから、「優良業者を紹介します」と謳っている「紹介サイト」であっても、実態はとにかく加盟業者を増やすことに注力しています。

自社の「紹介サイト」に、業者を加盟させるにあたり、とことん業者を厳選している――などと称する「紹介サイト」も少なくありませんが、これも到底信用できるものではありません。

「言ったモン勝ち」の世界だからなのです。

なにしろ、問い合わせてきたお客の元へ、いちはやく近隣の施工業者を紹介しなければなりませんから、登録業者数をたくさんもっていないと、迅速な対応ができなくなるからです。

登録業者の数が勝負であって、施工の「質」ではないからです。

そこのところを理解しておかないと、これまた「情報の非対称性」でやられます。

みんなはどうやって業者選びをしている?

では、一般の人はどうやって、業者選びをしているのでしょうか。

2022年12月に情報通信会社の株式会社ローカルワークスが、リフォーム経験者(5年以内に施工)1000人に尋ねたWebアンケート調査によれば、下記のような結果となっています。

1. 知り合いの紹介(33.9%)
2. ネット検索(28.2%)
3. 業者比較サイト・クチコミサイト(22.0%)
4. 自宅を建ててくれた業者に依頼(18.7%)
5. 新聞・CM(7.0%)

(2)と(3)はいずれもネット経由ですから、合計すると50.2%になります。

(1)の「知り合いの紹介」の33.9%よりも多いことになりますが、両者を合わせると84.1%になりますから、業者選びは「知り合い」と「ネット」とで2極化していることが窺えます。

また、「業者選びで困ったことは?」という問いに対しては、下記の結果となっています。

1. 相場がわからない(47.4%)
2. 業者の実績がわからない(22.4%)
3. アフターフォローの有無(19.5%)
4. 業者に関する基本情報がわからない(19.0%)

(1)の「相場がわからない」というのが、47.4%と半数近くを占めています。素人にとって、いかにこの業界が「とっつきにくい」業界であることかが窺えるのです。

ニーズは多くても業界は「過当競争」

矢野経済研究所の調査によれば、住宅リフォーム業界の市場規模は、6兆5,000億円で、ここ10数年は、ほぼ横ばいです。

高齢化によるバリアフリー工事などで、市場が広がっているかと思えば、そうでもないようなのです。

リフォームの潜在顧客は、全世帯の6割にのぼり、およそ1,000世帯前後がつねに潜在的な対象とされているようですが、現在もこの潜在ニーズは今後もそう変わらないと見られています。

築15年や20年でリフォーム工事を依頼する人もいれば、「住宅の朽廃年数」といわれる35年を過ぎてボロボロになっても、それでも補修をやらない――という家もあるからです。

建物内部の給排水管は、20年も経過すると、劣化で水漏れが生じたりしがち――といいますが、これも35年経っても平気で、何ともない家もあるからです。一戸建ての場合は、取り壊すまで、一切の補修を行わないという家もあるわけです。

ちなみに部位別リフォームで見ると、2020年時点で、「塗装関係」が最も多く、2兆7,000億円(約43%)規模で圧倒的な多さとなっています。そして、塗装関係で国民生活センターに寄せられる相談・苦情件数は、毎年6,000件台にのぼります。

いかに、塗装工事での被害が多いかがわかります。

次いで「大規模リフォーム」が22.3%、「家具・インテリア」が11.5%、「キッチン」が10.5%、「バス」が7.3%、「トイレ」が4.0%、「洗面化粧台」が1.5%です。

こうした工事を請け負う住宅リフォーム業者は、概ね2万5,000ほどの業者がひしめいていると推定されますが、近年では建築関係とは直接関係のない業者までが、「リフォーム」の受付窓口業務で参入しているため、競争は激化しているといいます。

従来のリフォーム専業者や工務店、水道工事店、建設業者に加え、店舗チェーンの顧客信用度を活かした「ホームセンター」「家電量販店」「大型家具店」「大型園芸センター」などが新規参入しているわけです。

しかしながら、業界はいっぽうで、職人の高齢化、職人不足、資材不足、資材高騰の波もあり、この業界の前途は必ずしも安泰ではないようなのです。

Next: なぜリフォーム業界に悪徳業者がはびこるのか?構造的な欠陥

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