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いつか崩壊する前に。大谷翔平選手と株価に共通する「良いことばかりは続かない」法則=角野實

世界最高峰のプレイヤーである大谷翔平選手の元通訳・水原一平さんの不祥事が連日話題を集めています。絶頂期ともいえる大谷選手が、まさかのトラブルに巻き込まれるというニュースに驚きを隠せません。ただ、物事には二面性があり「良いこと」と「悪いこと」は常に同居していて、それは株価に関しても実は共通していることで、あまりにも好調すぎると息切れするのが早まってしまうのです。(『 角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』)

【関連】中国の電気自動車もアメリカに潰される。バイデン「EV税優遇」の外国車いじめで世界経済はどう動くか=角野實

プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

何もかもが好調すぎる大谷選手だが、良いことが続くときは警戒も必要

先日、TVを買い換えました。40型から一気に55型に。65型にしようと思ったのですが、それに見合う家具がないのですが、設置してみると65でもOKだったなと(笑)。それで野球を観たのですが、開幕戦ですからみな本調子ではない、という印象を持ちました。

そういった中で大谷翔平選手の通訳だった水原一平さんが不祥事からのロサンゼルス・ドジャース解雇。ファンには申し訳ないのですが「良かったな」と個人的には感じる面もありました。その理由については後ほど説明していきます。

大谷選手の推移をみていると、移籍から巨額年棒、努力が認められ球界最高峰の選手になり、結婚。春先からスイングなどを見ていると「振れている」という印象しかないのです。この順調さを危惧していたのですが、そこにめでたい結婚のニュース。好事が多くこのままピークまで登り詰めるのにはあまりにももったいない。さまざまな問題はありますが、ある意味、今回の件に関してはピークを先延ばしにしてくれてよかったねとは思います。

通訳だった水原さんはネット上でたぶん、ボロカスに言われているのでしょうが、大谷選手について行くのは大変でしょうし、自分の実力以上に評価されるのもかなりのストレスだと思います。「休もうよ」と言うと、「今じゃない」と断られるらしいので、そのストイックさに合わせるのは並大抵のことではないような気がします。ただ、やったことは褒められるような内容ではないですけどね。

このような悪いことがあって2024年年も「大谷さんイヤー」になるのだろうね、と思います。良いことばかりだと警戒をする私のチキンな性格の感想でした(笑)。

大谷選手と株価も同じで「長期的効果」と「短期的効果」を見極めるべき

日経平均などは、年初からすっ飛び、もうすでに3月なのに高騰中です。その間の調整などはたいてい予測通りにきましたが、3/6〜8のピークの調整がこれほどまでに浅い調整になるとは思いませんでした。

NVDA(エヌビディア)も中国の自動車販売台数が1月の春節の割には、大きく登録台数が過去最高になったことから株価が上昇をしています。2月に中国販売台数が減少したことから危惧されていましたが、Meta(メタ)やAmazon(アマゾン)など、本当は自動車メーカーというよりもEVメーカーなのですけど、受注が最高を記録。日本でも三井物産やソフトバンク、NTTデータまでもが受注を開始するというニュースも。あまりにも好調すぎる、と思ってしまいます。

悪いニュースが来ても、それを上回るような好調なニュースが押し寄せてくる、典型的に調子のよい人に起こる現象だと思います。

よく私は物事には二面性があり良いことと悪いことは常に同居しており、その効果には「長期的効果」と「短期的効果」があるという話をしています。これが短期に出るのか長期に出るのかによってマーケットの方向性が変わるよ、ということになると思います。

もちろん、長期的効果に良い材料があれば目先、下押しをすると多いますが、「長期的には高くなる」という意味になります。その場合、「短期的効果に悪材料が出る」ということになります。

今回の日経の場合、マイナス金利解除ということが悪材料ですが、つまり金利が上昇するということです。しかし長期的にみればデフレ経済からの脱却という、30年来の難問を解決する、非常に末恐ろしい長期的な好材料が待っていることが日経のテーマだ、といった話をしています。ただ、あまりにも日経を過保護にしているのではないのかな、と私は思っています。

現状の短期的効果:株価はドル高等関係なく上昇している

ドル高になろうが、金利上昇措置をとろうが、株価は関係なく上昇をしている、ということです。これが短期的な効果だと思います。日本銀行はこれに対して、緩和的な措置を取るという過保護ぷりを発揮しているような気がします。そんなもの放置しておいても大丈夫なのに、過保護だよね、というのが私の感想です。

現状の長期的効果:ドル急騰により株価が下がらないのはおかしい

まず、3月21日(木)にひっそりとスイス中銀が利上げを行っています。誰も注目をしていませんが、これは非常に重要なことです。

たとえば毎日、本日のマーケットでもスイスフランの動向を記していますが、これはリスク回避のときにスイスが必ず動くから、という意味があります。つまりドルにリスク回避の動きが出た場合、必ずスイスが上昇するから常にチェックをしているということです。

今回の場合、スイス中銀の利下げですので、「スイス安のドル高」という現象が起きます。実際に昨日のドル単体は年間で0.81高だったものが、今日はなんと2.39高と、今までにないような急騰。ドルインデックスの前年比も0.14→1.62と急騰をしていますが、金利は前年比で0.87→0.77に下がっている状態です。

みなさんは、この金利が下がったということに注目をして、今日のNY株がしっかり入ってきていると考えるでしょうが、私からすれば、ドルがこれだけ急騰をしていて、株価や資源価格がほとんど下がらないのは本当におかしな現象だと考えています。

もちろん、ドル高を無視して上昇をしているのですから、資源や株価は「バブル」といってもおかしくない状態です。通常であればこれだけのドル高になれば、リスク資産は大きく下がらなくてはいけません。おそらく「需給が影響をしている」と考えると、バブルというほどでもないか、と思います。

需給に関してはインフレ率が日米ともに3%前後で、株価はだいたい25〜50%前年比で上昇しており、インフレ率3%で預金金利は米国5%、日本がスズメの涙で、株価は2〜3割高いのであれば皆、株を選択するでしょう。あるいは資源やビットコイン、暗号資産を選択するのは自然なことです。

日本はこの状態になっても企業も家計も一生懸命「貯蓄」を選択するのですから、これだけ経済原則に反した動きをしたためにデフレになったのです。そのデフレの要因が一部取り除けたから、株価が急騰をしている訳です。そうなると需給が犯人のバブルなんだろうね、と思います。

しかし、良いことばかりだと突っ走てしまい、最終的にはバブルがいつか崩壊するという形になってしまうのではないかとも考えます。私は大谷選手に関しては、それを危惧していたのです。悪い材料、かなりの悪材料だと思いますから適当なところで一息をついてほしい、ということだったのです。

その一方で株価に関しては、一息の休みはところどころにあるのですが、休み時間があまりにも少ない、という形になっていると思います。きちんと利上げの効果で下げるときに下げないと息切れするのが早まるよ、と私は考えますが、杞憂に終わればよいなと思っています。

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角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』(2024年3月22日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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