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過去最高益「東宝」株は買いか?コナン、ゴジラほかヒット作が貢献。映画業界で売上トップに君臨し続ける3つの理由=佐々木悠

アニメ×海外で化けるか

今後の成長性はどうでしょうか?

中期経営計画を見てみましょう。

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出典:23年2月期 有価証券報告書より作成

 

私が今後の成長のカギと考えているのが、アニメ事業の中でも海外展開の強化です。

 

「日本が世界でも通用する産業は?」と聞かれると多くの人は「自動車」と答えると思いますが、今の若者は「アニメ」と答える人もいるそうです。

実際、アニメの世界市場は拡大しています。

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出典:Branc

しかし、東宝の売上2,833億円に対して海外売上は157億円、全体の5%程度です。この157億円はアニメに関する売上ですが、現状は国内を中心にビジネスを行っています

従って、更なる成長のためには、世界的なジャパン・コンテンツ人気の拡大に乗れるか?が重要です。そしてこの潮流に対して、成功事例となりそうなのが、北米で公開された「ゴジラ-1.0」という映画です。

この映画は邦画実写として最大規模の2,600館以上という公開館数まで拡大しました。北米興行収入は5,641万ドル(約84億円)であり、『子猫物語』(1,329万ドル:約20億円)を大きく上回り、34年ぶりに記録を塗り替えて歴代1位

 

実写版ゴジラの北米上映は成功したと言えるでしょう

 

つまりジャパン・コンテンツの世界的に人気が高まっている潮流と、東宝が国内配給だけでなく、海外配給の窓口を担う作品が増えて行けば、国内映画と不動産事業に加え、アニメ(海外)という新たな収益の柱となるかもしれません。

 

これが中長期的な期待の1つと言えるでしょう。

 

ここまでを踏まえて、東宝に投資する際のポイントを考えてみましょう。

東宝に投資するポイント

まずは株価の動きを見てみましょう。

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出典:株探

 

24年4月18日、終値時点の時価総額は約9,900億円、PERは約23倍です。

おそらく「意外と時価総額が大きい企業なんだな」と感じたのではないでしょうか?

 

東宝は業績をしっかり伸ばしてきており、株価も右肩上がりです。

強みは、これまで述べた通り、映画と不動産の事業ポートフォリオ、ヒット作を生み出す制作会社との関係性です。

 

あえて弱みを考えるならば、自社独自のIPはゴジラしかいないことです。

自社独自で作成できるコンテンツが少ないため、映画コンテンツからのグッズやゲームなどの2次、3次利用が弱い側面があります。

 

この弱みを補うのが「強み」な訳ですが、仮にジブリの作品がコケる(そもそも毎年映画を出すわけではありません)、またはその年の映画が不作である場合には、どうしようもない、と言う事態が訪れます。

こういった、「他社制作のヒット作の動向」という外部環境に左右されるリスクがあることは認識すべきでしょう。

 

そして、今後の成長期待として上げられるのが、アニメ×海外という新たなる市場です。日本においては盤石な基盤があるものの、海外では新規開拓者です。

この観点では成長余力が残っているものと考えます。

 

こういったリスクと期待を押さえながら投資判断をなさってください。


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image by: Ned Snowman / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年4月19日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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