下落に慌てるべからず
NTTにとってネガティブな状況が続くかというと、私はそんなことはないと考えています。
NTT法が廃止された暁にはコストを削っていくことができますし、今回、会計上の費用を前倒しにするような動きを行ったのだとしたら、当然どこかでその逆の動きが起こることになり、前倒ししたコストの分だけ利益が大きくなります。
NTT法の廃止はNTTにとってプラスに働くもので、NTTはそれに向けて粛々と動いているように私には見えます。
今回の決算発表でポジティブな内容もあり、配当に関しては今期も増配になるということですし、NTTはこれまで自己株式取得を粛々と行ってきて、特に政府から直接自己株式を取得することもあって、これも政府にとっての財源となっていました。
今後も自己株式取得を行っていくならば、仮に利益が伸びなくても1株あたりの利益が伸びていくことになり、それによって株価も上昇する可能性があります。
株主還元が継続的に行われるということは、長期的に見てもポジティブな要素だと言えます。
自己株式取得で株数が減ることによって1株あたり利益が伸びていくことは、NTTの大きな強みであるということは覚えておいてください。
そもそもそこまで大きく伸びる銘柄ではなく、少しずつのプラスとたまにマイナスを繰り返しながら年数%伸びていくといった銘柄となっています。
自己株式取得と地道な利益の伸びによって成長していく銘柄だと思っておきましょう。
今回、株価としてはピークから20%下がったしまいましたが、配当を受け取りつつじわじわと伸びていくのであれば、仮に現時点で20%マイナスになっていたとしても、1年、2年と経つうちに配当も含めてプラスになっている可能性は高いと思います。
もしNTTをたくさん買いたいと思っているのであれば、今のような下がったタイミングで買うことでプラスになるタイミングが早まると言えでしょう。
その企業が売るべき悪い企業だったら売る必要がありますが、良い企業だと思っているなら買い増す時ですし、悪い企業でなければ株価が戻ることもあるので、売るにしてももう少し後の話になります。
下がった時は成長のチャンス
株価が下がった時に、下がった理由であったり、株価の動きについて本気で勉強し始めた人がやがて投資家として成長して、そのうち自分が本当に買うべき良い銘柄に巡り合うことができます。
だからこそ、株式投資では下がった時の動きが重要となるわけです。
銘柄の良し悪しはすぐに判断できるものではありません。
2年、3年という期間を見てみて始めて掴めてくるこのなので、ぜひ気を長く持って取り組んでいただきたいと思います。
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
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』(2024年5月29日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。