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支持率拮抗もトランプ再選は確実?報道されない本当の米大統領選情勢と日本への影響=高島康司

日本では報道されていないが、トランプの勢いが次第に強くなっている。アメリカの外交政策の奥の院である「CFR」がトランプを容認した。トランプが大統領となると、日本にどんな影響があるのか見てみる。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2024年8月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

勢いづくトランプと「CFR」のトランプ容認

勢いづくトランプと「CFR」のトランプ容認について解説したい。

日本の米大統領選の報道を見ると、いま民主党のカマラ・ハリス旋風が吹いており、共和党のトランプを圧倒しつつあるかのような印象を受ける。しかし、ハリスへの支持はバイデンよりは高いものの、旋風が吹いているという印象ではない。アメリカの主要な9つの世論調査機関の平均値の支持率は、次のようになっている。

ハリス: 48.3%
トランプ: 46.6%

たしかにハリスが若干リードしているものの、その差はわずか1.7%の差である。ハリスの失言など、ちょっとしたミスで逆転しかねないくらいの差だ。また、選挙結果を大きく左右する7つのスウイングステーツのうち、5州ではトランプの支持率が勝っている。2016年の大統領選挙では、民主党のクリントンが総得票数では300万票も上回っていたのにトランプが勝利したように、今回の選挙でもスウイングステーツを制したトランプが勝利するという同じ結果になる可能性もある。少なくとも、旋風が吹いてハリスが圧勝するというシナリオはちょっと考えられない。

トランプに有利な情勢

現地のさまざまな分析者の記事を読むと、最終的にはトランプが勝利する可能性が高いとする分析が意外に多い。その理由をまとめると、次のようになる。

・アメリカの中間層は解体の危機に瀕している。富裕層はバイデン政権下でさらに富を増した。格差は極端になる。社会的格差の是正と、中間層の再興が最大の政治課題だ。

・共和党は伝統的な家族共同体を母体にしたキリスト教の倫理で統治される明確な社会モデルで、格差を是正する。地域共同体強化による是正策だ。このモデルで一枚岩に団結している。

・一方民主党の是正策は分裂している。右派は、民主主義と市場原理の徹底で経済を活性化して格差の是正を主張するが、左派は大きな政府による再分配を主張している。内部で分裂している。

・分裂した民主党を辛うじてまとめているのは、トランプやその保守的なアメリカ観に対する強い憎しみとヘイトだけだ。民主党に、統一した社会観と政策は存在しない。

・トランプの主張する地域共同体を主体にした国家観は、保守層に強くアピールするだけではなく、黒人やヒスパニックなど多くのマイノリティーにも浸透している。共和党は貧者の政党になった。トランプは貧者革命のリーダーになった。

・このように見ると、トランプの共和党は同一の社会観と価値観の共有に基づく一枚岩的な団結を維持している。一方、ハリスの民主党は、時間が経つと民主党内の分裂と党派間の不一致が露呈し、勢いを失う可能性が高い。

このような分析だ。いまはトランプヘイトでまとまっているが、本格的な政策論争に入ると、分裂している民主党は勢いを失うはずだとする見方だ。特に、悲惨な「ガザ戦争」は、イスラエルを支持し、軍事支援しているバイデン政権に対する民主党左派からの批判は強く、これから民主党の分裂を拡大させる大きな要因のひとつになる可能性が高い。

「外交問題評議会(CFR)」のトランプ容認

このように、時間の経過とともに、特に7月13日の暗殺未遂事件以降、価値観と世界観の一枚岩的な団結を維持している共和党の方が、最終的に有利になるはずだという予想だ。

そのような中、トランプをさらに有利にする状況が現われている。それは、アメリカの外交政策決定の奥の院、「外交問題評議会(CFR)」のトランプの次期大統領容認だ。これはすでに筆者のコミュニティーサロン、「YOOR」の記事に一部紹介した。まずは、「外交問題評議会(CFR)」とはどのような組織なのか、簡単に振り返ろう。以前の記事にも紹介している。

現在のバイデン政権の主要な閣僚は、「CFR」のメンバーが圧倒的に多い。以下がそのリストだ。

・ジャネット・イエレン財務長官
・アントニー・ブリンケン国務長官
・トム・ヴィサック農務長官
・ジナ・レイモンドー商務長官
・アレジャンドロ・マヨルカス国土安全保障省長官
・サルマン・アハメド国務省政策企画本部部長

バイデン政権の主要閣僚は16人だ。そのなかで「CFR」の正式メンバーが6人というのは少ないとの印象も持つかもしれないが、それは違う。トランプ政権で「CFR」のメンバーは実質的にゼロであったのだ。

これを見ると、やはり「CFR」のバイデン政権に対する影響力は大きいと見なければならない。特に、上記のもっとも重要な閣僚のポストが、「CFR」のメンバーで固められているのは注目に値する。「CFR」の影響下にある政権だと見てよい。

では「CFR」とはどのような組織なのだろか?

Next: 「CFR」とは何者か?日本では報道されない米大統領選の現況

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