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安倍“改憲”政権の消費増税先送りが日本にもたらす「4つの悲劇」=岩崎博充

3.「ヘリコプターマネー」という片道特攻~日銀の暴走リスク

2015年1月5日、ロイターの電子版が「日本は先進国初の『ヘリコプターマネー』発動か」という記事を配信した。日銀が保有する国債を「ゼロクーポン永久債」に転換して、国に潤沢な資金を提供するという方法を紹介している。

ヘリコプターマネーというのは、中央銀行が政府の発行する国債を無制限に買い入れて、政府の資金調達をサポートするもので、政府は返済の義務も追わない。「財政ファイナンス」とも呼ばれるものだ。

ゼロクーポンというのは「金利ゼロ」のこと、額面価格のままで発行されて利息はなし、しかも償還期間のない永久債ということは、政府は返さなくてもいい国債の枠が300兆円程度増えることを意味する。

返済する義務がないから「政府債務の増大」といった指摘を受けることもなく、財政赤字への拡大に悩むこともない。

財政赤字の増大が止まるために、国民は将来の増税や政府の債務不履行(デフォルト)を心配する必要もなくなる。インフレになることも目に見えているから、今のうちに使ってしまおうという「消費意欲」もわいてくる。

保有国債をゼロクーポン永久債に転換させるという方法は、日銀法によって制限されている「規定外の業務」に相当するが、これも「財務省及び首相の認可を受けたとき」は例外扱いされている。実現は可能と言われている。

一方、最近になって注目され始めたのが「ベーシックインカム」だ。

国民一人一人に、生活保護費や最低賃金の1か月分の賃金を上回るお金を給付しようという政策で、「ヘリコプターマネー」そのものの政策だが、生活保護や最低賃金に関わる様々な諸問題を解決する方法として、すでに200年以上も前から提唱されている奇抜な政策だ。

Next: ベーシックインカムの利点と欠点/ヘリコプターマネーは失敗必至

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