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蒲郡市のボートレース担当職員、違法な舟券購入で懲戒免職。一日に数十万円つぎ込むことも…定年寸前での不祥事で退職金もパーの“痛恨のフライング”に

愛知県蒲郡市の職員で同市のボートレース事業部次長を務めていた男性職員(59)が、法律で禁じられた舟券購入を繰り返していたことなどが発覚し、懲戒免職処分となっていたことが分かった。

報道によれば、この職員は「ボートレース蒲郡」を運営する同市において、ボートレース場の宣伝、警備などの業務を統括する立場だったとのこと。

モーターボート競走法では、競技の透明性を保つためといった理由で、レースに関係する自治体職員等は、法律により舟券などの購入は禁じられているのだが、同職員は2019年度ごろから勤務時間外に、場外舟券売り場などで月2、3日程度、舟券を買っていたということ。

また同職員は、ファンサービスなどに利用される宣伝用のクオカード39枚(約2万3,000円相当)を、コンビニなどで私的に使ったり、さらには警備対策用の金券60枚(約5万4,000円相当)を換金して、自分の飲食の代金支払いに充てるといった横領行為も働いていたという。

蒲郡市の鈴木寿明市長は、記者会見において「職員の綱紀粛正に努める」と陳謝。現在、同部の他の職員についても、舟券購入がないか調査中だという。

選手も含めた関係者の舟券購入が続々と発覚中

2010年度には売上が8,000億円台まで落ち込んだボートレースだが、豪華芸能人をキャスティングしたTVCMなどで若者層などへのアピールに成功したこともあり、その後は右肩上がりに売上を伸ばしており、直近の2023年度は2兆4,220億1,244万400円もの総売上を記録

なかでも蒲郡は、日中の仕事が終わった後の時間帯に楽しめるナイターレースを一年中開催していることもあり、全国に24場あるボートレース場のなかでも屈指の売上を誇るのだが、そんなボートレース場のいわゆる施行者側の人間が起こしてしまった今回の不祥事。

そもそもボートレース業界といえば、近年はこのように売上こそ好調ながらも、その反面で各所で不祥事が続出しているといった状況

2020年には、わざとレースで着順を下げて知人に的中させた見返りに報酬を受け取るという、いわゆる八百長行為が発覚し、当該選手は逮捕されて後に実刑判決が下されることに。また22年には、業界のトップ選手のひとりがネット上で予想業者と接触を持ったことが咎められ、4か月間の出場停止処分を受けたほか、くわえてコロナ禍においては、200名以上もの選手が国の持続化給付金を不正受給していたことも、記憶に新しいところである。

【関連】競艇選手211名が不正受給、八百長に続く不祥事にファン失望。「ルールを守れねぇ奴とは走れねぇよ」新CMの間の悪さも話題に

さらに、今回のように関係者にも関わらず舟券を買っていた……という話でいえば、今年に入りとある若手選手が、電話投票によってそのような行為を行っていたことが判明し、選手登録を抹消されたばかり。

またいっぽうで今年5月には、都内にあるボートレース江戸川にて、選手が落水・転覆した際に救助する「救助艇」の乗員として勤務していた職員が、在職中に舟券を買っていたとして、モーターボート競走法違反で書類送検されるという出来事も。

全国のボートレース事業を統括する日本モーターボート競走会は、この事件を受けて、全国の関連施設で内部調査を行ったということで、その結果、この江戸川の職員と同様に違法な舟券購入が認められる職員が、全国で22人も存在していたことが分かったという。

その22人は、すでに全員が諭旨解雇処分となったということなのだが、しかしながらその元職員の一部は、事前に上司から「問題はない」と確認した上で、舟券を購入していたと主張。解雇処分は合理性を欠くとして、競走会に対して地位確認と賃金の支払いなどを求める訴えを、今月になって起こしているという。

多い日には数十万円分も購入か

先述の通り、ボートレースの選手やその職員らが舟券を購入することは固く禁じられているわけだが、モーターボート競走法の第十一条をみてみると、競走に関係する政府職員及び施行者の職員、また競走実施機関の役職員及び競走の選手に関しては、全国で開催されているすべてのレースでの舟券購入が禁じられているとのこと。

ただそのいっぽうで上記以外の職務、例えば舟券の販売業務や、場内の整理や警備などといった競走の事務に従事する職員に関しては当該競走、つまり勤務先のレースに限って購入できないと規定されており、訴えを起こした元職員らは自らがコレに当てはまると、どうやら主張しているようなのだ。

このように関係職員の舟券購入の禁止に関しては、その職員の立場によって制限の幅が異なるということなのだが、今回のボートレース蒲郡の件に関しては施行者側の人間、しかもボートレース事業部次長という重責を担っていた人物とあって、すべてのレースの舟券購入が禁じられる立場であったであろうことは疑いのないところ。

それにくわえ、クオカードなど金券の横領にも手を染めていたとなれば、懲戒免職という厳しい処分も避けられない状況だったようだ。

それにしてもこの蒲郡の職員だが、舟券を買い始めたのは2019年頃だったというのだが、昨年度までの2年間は特にそれが常習化していたといい、一日の購入額は平均で2~3万円、多い日には数十万円にも及ぶなど、完全にのめり込んでいた模様

当該職員の年齢から察するに、あともう少しのあいだ我慢して真面目に働いていれば、晴れて定年退職ということで、舟券購入をいつでも楽しめる時間ができ、さらにいえば退職金もたんまりと貰って資金も潤沢……といった状況だったにも関わらず、それらはすべてフイに。ボートレースが大好きであったであろうこの職員にとっては、ある意味で痛すぎるフライングになったと言えそうである。

Next: 「舟券買ってる関係者…他にいない?」

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