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AIの誤情報で戦争に?トランプが仕掛けた“やらせ停戦”の全貌。報道されないイスラエル・イラン戦争の真実=高島康司

「IAEA」のグロッシー事務局長とイスラエル

実は、これを深堀りして行くと、とんでもない事実が明らかになってくる。中東問題の著名なジャーナリストにマックス・ブルメンソールがいるが、彼は重要な情報を明らかにしていた。これは、「IAEA」のグロッシー事務局長とイスラエルの結び付きに関する情報だった。

2008年からの3期、「IAEA」の事務局長であったのは日本の外交官出身の天野之弥であった。イスラエルはかねてから「IAEA」における影響を強めようとしてきたが、天野はこれに抵抗し、どの国に対してもフェアな態度を貫いていた。天野の評価は非常に高かった。しかし2019年、2021年までの任期を残したまま、天野は急死した。死因は公表されていない。

その後、事務総長に就任したのは、アルゼンチン出身のラファエル・グロッシーであった。グロッシーはイスラエルとの関係が深い人物で、イスラエルが天野の公認に強く押していた。このようなグロッシーが「IAEA」に事務総長になった後、「IAEA」がイランで実施している核査察のデータは、イスラエルに直接わたるようになった。イスラエルはこうして入手したイランのデータを独自に分析するようになった。

「パレンティア・テクノロジーズ」のシステム

このデータの分析に使われたのが、「パレンティア・テクノロジーズ」の「モザイク」というシステムだ。「パレンティア・テクノロジーズ」は、「ペイパル」の創始者のひとりであるピーター・ティールが設立した企業だ。ティールは熱烈なイスラエル支持で、シオニストである。

「パレンティア・テクノロジーズ」は裏グーグルとも呼ばれ、高度なAIを駆使してSNSやあらゆる形態のビッグデータを探索することで、指定された個人の情報と行動をすべて追跡することのできるシステムを開発している。さらに、個人の行動を5年先まで予測できる「プレディカティブ・アルゴリズム」というシステムさえ持っている。

このシステムはテロリストのトラッキングには理想的だとし、CIA、NSA、FBI、そしてイスラエルのモサドなどの情報機関や、米陸軍、アメリカ各地の警察がクライアントになっている。

この同じアルゴリズムを使ったシステムに「ラベンダー」がある。まさにジェノサイドであるイスラエルの限度を知らないカザの民間人殺害を実行しているのは、「ラベンダー」だ。

かねてからイスラエルは、230万人のガザ市民すべてを顔認証とともに登録し、その行動をトラッキングしていた。しかしながら、「ハマス」の戦闘員の行動を100%把握していたわけではない。そこでイスラエル軍は「ハマス」の戦闘員、ならびに幹部を発見し、殺害する精度の高いAIのシステムを開発した。それが「ラベンダー」である。「ラベンダー」が「ハマス」の幹部や戦闘員、そしてその関係者として認知した人物は3万7,000名に達した。

「ハマス」の戦闘員には、携帯電話や住所を頻繁に変えるなどの行動パターンがあるとされた。トラッキングされた230万人のガザ市民で、こうした行動パターンに合致したものは「ハマス」の幹部、ないしは戦闘員として認識され、「ラベンダー」は殺害目標として指定した。

しかし、このような「ラベンダー」のAIシステムのターゲットとなった標的を、検証なしにそのまま殺害すると、膨大なエラーが発生していることも明らかになっている。もともとのパラメーターの情報にエラーがあったり、家族が同一の携帯を使い回している場合などは、「ハマス」とはなんの関係もない膨大な数の民間人が殺害されている。「ラベンダー」のAIシステムのエラーの多さはいま問題になっている。

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