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迫る米国発の金融危機…暗号通貨の相場はどう動く?急騰の兆候と2つの爆弾=高島康司

今後の投資のためにも検討しておいた方がよいだろう。

結論から言うなら、政府閉鎖による給与停止と「商業不動産の破綻が重なり、米国の地方銀行システムを直撃するというシナリオは、ビットコインを中心とした暗号通貨の相場にとって、極めて重大な分岐点となる。この状況では、相反する2つの力が同時に働き、最終的には3つ目の最も強力な要因が相場を決定づけると考えられる。

<シナリオ1:「リスクオフ」による暴落>

まず、金融危機が発生した直後に伝統的に起こる反応である。金融システム全体への不安が高まると、投資家は「質への逃避(Flight to Quality)」を行う。この場合、最も安全な資産である米ドルと米国短期国債に資金が殺到する。そしてその現金を確保するため、投資家は保有するあらゆるリスク資産(株式、社債、そして暗号通貨)を区別なく投げ売りする。

このような結果、平時は相関が低くても、こうしたパニック的なリスクオフ局面では、暗号通貨は株式(特にナスダックなどのハイテク株)と強い相関関係をもって下落する傾向がある。このシナリオでは、暗号通貨の価格は短期的に暴落する。

<シナリオ2:「伝統的金融への不信」による上昇>

しかし、この危機は一般的な金融危機ではなく、銀行システムの危機である点が決定的である。この場合、2023年3月の教訓が強く意識される。

2023年3月、シリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー銀行が破綻した際、株式市場は混乱したが、ビットコインの価格は逆に急騰した。これは以下の理由による。

1. 銀行システムへの不信
預金者が「銀行に預けているドルは本当に安全なのか?」と不安を抱き、政府や銀行の管理下にない「代替となる金融システム」としてビットコインに資金を逃がした。

2. ステーブルコインの不安
銀行破綻により、その銀行に準備金を置いていたステーブルコインのドル連動が一時的に崩れた。その結果、ステーブルコインからビットコインへ資金が流入した。

地方銀行の連鎖的な経営不安は、まさにこのSVB破綻の再来、あるいはそれ以上の規模となるため、安全な避難先としてビットコインが買われる可能性が非常に高い。そして、ビットコインの急騰に後押しされ、暗号通貨の相場全体が上昇する。

<シナリオ3(最終的な決定要因):FRBの政策転換(金融緩和)>

上記2つが投資家心理の戦いであるのに対し、これは中央銀行による強制的な市場操作であり、最も強力な要因である。地方銀行の連鎖破綻と信用収縮(貸し渋り)による深刻な景気後退は、FRBが絶対に回避しなければならない事態である。

FRBは、この金融危機を鎮圧するために、現在行っている利下げ幅を一気に拡大し、また量的緩和(QE)を再開して市場へのドルの大量供給に踏み切らざるを得ない。

これは、市場にドルの流動性が再び溢れかえることを意味する。ビットコインのような発行上限が定められた希少性の高い資産は、こうしたドルの価値が低下するインフレ局面で最も買われる資産である。

結論として、相場はどうなるか?

この3つのシナリオは、時系列で発生する可能性が高い。

1. 超短期はパニック売りで暴落
危機発生の直後、数時間から数日は、シナリオ1の「リスクオフ」が勝ち、全ての資産と共に暗号通貨も売られる可能性がある。

2. 中・長期は本格的な上昇で暴騰
しかし、市場が「これは銀行の危機だ」と認識した瞬間(シナリオ2)、そしてFRBが「金融緩和で対応する」と発表した瞬間(シナリオ3)から、流れは完全に変わる。

短期的には下落するリスクもあるが、米国の銀行システム危機というシナリオは、中長期的には暗号通貨(特にビットコイン)の価値を証明し、さらにFRBによる金融緩和を強制する点で、皮肉にも極めて強力な買い材料になると見なされる。

このように見ると、金融危機がぽこった場合、暗号通貨の相場は一時的には大きく下落するものの、最終的には暴騰するものと思われる。このような危機は現実的に発生するかどうかはまだ分からないものの、その可能性は否定できない。

だがこれは、暗号通貨の相場にとっては決して悪い出来事ではない。

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