11月13日に最初に認可されるXRP ETF
もちろんこうした事態は、XRPの相場にとっても好材料だ。ビットコインの上昇にけん引されてXRPも高騰するに違いない。しかし、XRPの高騰をさらに大きくさせる独自の要因がある。それは、この記事でも何度も紹介しているXRPの現物ETFの解禁だ。もちろんいまは、連邦政府が一部閉鎖されているので、米証券取引委員会(SEC)によるXRPの現物ETFの認可に向けた審査は中断されている。しかしそれでも、資産運用会社、カナリー・キャピタルが申請しているXRPの現物ETFだけは、先行的に認可される可能性が高いのだ。
その根拠は、カナリー・キャピタルが取った特定の申請戦略に基づいている。だから、これは、すべての申請に当てはまるものではなく、特定のルールを利用した動きだ。
<1. 「11月13日説」の根拠>
この説は、SECの「20日間ルール」に関連している。
・申請内容の更新
カナリー・キャピタルは2025年10月24日に、同社が申請しているXRP現物ETFの申請書類(S-1登録届出書)を更新した。この更新の際、ETFの発行企業は通常、SECに審査の裁量を与えるために「ディレイング・アメンドメント」という条項を含める。これにより、SECは審査期間を延長できる。
ところがカナリー・キャピタルは、この「ディレイング・アメンドメント」を意図的に削除して申請を提出したと報じられている。この条項がない場合、法律上、申請書は提出から20日後に自動的に発効となる可能性がある。
申請日の10月24日の20日後が、11月13日にあたる。このため、この日にカナリー・キャピタルのXRP ETFが自動的に承認状態になるのではないか、と見られているのだ。
<2. 政府機関閉鎖との関連>
この動きは、現在続いている米国政府機関の一部閉鎖と深く関連している。政府機関閉鎖により、SECの職員の多くが休職しており、ETFの通常審査プロセスが停滞している。この「20日間ルール」を利用した戦略は、SECによる積極的な審査や介入が物理的に困難な状況下で、プロセスを強制的に進めるためのものと考えられる。
同様の戦略は、「フィデリティ」がソラナの現物ETF申請で先んじて使用しており、仮想通貨ETFの申請企業の間で、政府機関閉鎖の状況下における新たな承認獲得の手法として注目されている。
<・注意点>
しかしこの「11月13日自動認可説」は、あくまでカナリー・キャピタルという一社の特定の申請に関するものであり、グレースケールなど他の主要なXRP ETF申請のすべてが対象ではない。
他の多くの申請は、10月中に設定されていた判断期限を、政府機関閉鎖の影響でSECからの発表がないまま経過しており、審査が遅延している状態に変わりはない。したがって、11月13日にカナリー・キャピタルのETFが自動的に発効したとしても、それが即座に他のすべてのXRP ETFの承認を意味するわけではない点に注意が必要だ。
XRPの相場上昇の可能性は大きい
カナリー・キャピタルのXRP ETFが承認・発行された場合、XRPの相場には短期および中長期で大きな影響を与える可能性が高いと見られている。ただし、その影響はカナリー・キャピタル一社のみの承認で終わるか、それとも市場全体のXRP ETF承認の先駆けとなるかによって大きく異なると考えられる。
確実な未来を予測することはできないが、市場アナリストや過去の事例から予測される主なシナリオは以下の通りだ。
<1. 短期的な価格変動>
多くの専門家が、承認のニュース自体が強力な買い材料になると見ている。カナリー・キャピタルのETFが11月13日に「自動発効」した場合、それが「米国で最初のXRP現物ETFの事実上の承認」として報じられることになる。これは非常にポジティブなニュースであり、市場の期待感を一気に高め、短期的に価格が急騰する可能性が指摘されている。
過去に資産運用会社、ウィズダムツリーがXRPの現物ETFを申請したというニュースだけで、XRP価格が一時的に25%以上上昇した事例がある。
一方で、ビットコイン現物ETFが2024年1月に承認された際に見られたように、「承認」という事実が出た瞬間に、それまで期待で買っていた投資家による利益確定売りが強まり、一時的に価格が下落する可能性も十分に考えられる。
<2. 中長期的な価格変動>
短期的な乱高下とは別に、中長期的には機関投資家からの継続的な資金流入が価格を押し上げる要因になると分析されている。ETFは、これまで規制やコンプライアンスの問題でXRPに投資できなかった機関投資家や、一般的な個人投資家が、証券口座を通じて簡単にXRPにアクセスできる道を開く。そのため、カナリー・キャピタルのCEOは、自社のXRP ETFに対し、取引開始後わずか1ヶ月で約1.5兆円(約100億ドル)の資金流入があると予測している。
XRPは、ビットコインやイーサリアムと比較して時価総額がまだ小さい。そのため、アナリストからはビットコインETFと同じ規模の資金流入であっても、XRPの価格に与える上昇率はビットコインの時よりもはるかに大きくなる」という分析も出ている。
ただ今回のケースは「20日間ルール」を利用した特殊な事例であるため、注意が必要だ。もし市場が「これはカナリー・キャピタル一社だけの特殊な承認であり、政府機関閉鎖が解除されればSECが他のETFを否認する可能性がある」と判断した場合、影響は限定的になるかもしれない。
しかし、多くの市場参加者はこれを「承認への突破口」と見なす可能性が高い。カナリー・キャピタルのETFが問題なく取引を開始し、そこに実際に資金が流入する実績ができれば、SECが他の申請を拒否する理由はますます弱くなる。







