過去最高値更新の米国株式市場はいつまで高値を維持できるか?
米国株は高値を維持しています。
特にS&P500の快進撃はすごいですね。過去最高値を更新中です。またナスダック指数も堅調です。
米国の主要企業の業績は前期比でマイナスですが、市場予想よりもよいことが好感されているようです。しかし、これは毎度のことです。つまり、予想を低くしておいて、結果はそれよりもよいことで、株価を上昇させるという演出です。
これに騙されてはいけないのかもしれません。しかし、多くの市場参加者はこれを信じて高値をどんどん買ってきます。高所恐怖症の私はついていけません(笑)。
事実、米国の主要企業の業績は5四半期連続で減益です。すべての企業がよいわけではなりません。むしろ、多くの企業が苦しんでいるようにさえ見えます。
しかし、以前にも書きましたように、米国主要企業は、利益の5割を自社株買い、3割を配当に回しています。株主優先といえば聞こえはよいのですが、つまり株価維持策に利益を使っているわけです。
これでは株価が高値を維持するのも当然です。
したがって、現在の株高を素直に喜ぶわけにはいかないというスタンスは変わりません。事実、米国株はかなり割高になっているという指摘が多く聞かれます。
みんなが買うから上昇する、上昇するからまた買う、といった循環に入っているようにすら感じます。
一方、後述するように、29日にはドル安が進みました。これまでのドル高が、米国企業の業績に悪影響があるため、ドル安が喜ばしいと考えてきました。
また米国が明らかにドル安政策に切り替えたこともあり、やはり株高にはドル安が必要であることを再認識していました。
しかし、このタイミングで急にドル安になったことに、非常に違和感があります。これは悪いドル安になるのではないかとの予感です。
というのも、米国債が再び上昇に向かい始めています。これは、投資家のリスク回避姿勢の高まりの裏返しでもあります。さらに欧州の国債も買われています。
投資家は株式も買いつつも、国債も買っています。この流れはまだ変わっていないようです。その上で、米国株と米国債のレシオをみると、やや天井感が出始めています。これは国債の株価に対する相対的な強さを意味します。
いまの米国株を見ていると、誰もが安心しきって買っているようにも見えます。また、ITバブル期のようにPERが100倍を超えているわけでもないので、バブルとも感じません。
まさに安心感が投資家にさらに買いを促す、そのような好循環が生まれているように思われます。
VIXは再び11台に低下。このような動きになれば、投資家が安心するのも当然でしょう。繰り返しますが、11台は昨年8月以来の低水準です。10台から11台というのは、歴史的にもきわめて低い水準です。
先週も指摘したように、VIXは昨年8月5日には一時11を割り込む場面がありました。しかし、そこから10日後に急伸し始め、8月24日には一時53.29まで上昇しました。これが「チャイナショック」による株価暴落です。
このとき、ダウ平均は15370ドルの安値をつけていましたが、4日間で2100ドル超もの下げに見舞われました。
VIXが低水準にあるというのは、いまが楽観しすぎていることを示しているのであり、将来の大幅な変動の可能性を意味します。一般的にはその逆、つまり、低ボラティリティの際には株を買うタイミングと考えられているようです。
しかし、このような低ボラの状態は長くは続きません。いずれ、大幅な株価調整により修正されることになります。
また、ダウ輸送株指数の下落基調も大いに気になります。先週も解説しましたが、この指数はダウ平均を構成する3つの指数のうちのひとつで、ダウ工業株30種平均の先行指標と言われています。
昨年のチャイナショックの急落時には、かなり早い段階からこの輸送株指数は下げていました。今回も先んじて下げていますが、この傾向が続いた場合には要注意です。
私は、現在の米国株はいったん調整が入らないと、次の上昇に向かえないと考えています。そのタイミングは、早ければ8月中、遅くとも9月末までに来ると考えています。
そのため、積極的な買いは控え、常に急落に備えることが重要ではないかと考えています。
今週は重要経済指標の発表が目白押しです。結果次第で相場が大きく動く可能性が高いので、要注目です。