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「魔の8月」の恐れも。日銀の追加緩和を逆手に取る外国人投資家=江守哲

日経平均株価は「16250円」を下回れば下落トレンド入り

さて、市場のほうですが、なかなか結果が出ず、どうなるのかとやきもきしましたが、結局はETFの買い入れ増額で決まりました。

もともと、決定内容次第で上下に動くとみられていましたが、どちらに動くかは決定内容次第ですので、どうなるかわからない状態でした。市場関係者も、多くがそのように見ていたと思います。

しかし、結果は上記の通りであり、株価は下げ渋ったといえます。これには、8月2日に閣議決定される景気対策への期待があるといえます。

とりあえず、東京時間は急落しなかったことで、売り込みづらくなったことは確かでしょう。日経平均株価は引け値では重要な節目の16500円を維持しました。

また、市場が関心を示していたいわゆる「へコプターマネーの導入」はなくなったといえます。黒田総裁も「財政と金融政策が一体となったヘリマネは禁止されている」と言明しています。

いずれにしても、今回の日銀の決定で、金融政策の方向性はむしろはっきりしたといってよいかもしれません。

マイナス金利の深堀がないのであれば、銀行株や保険株は上昇しやすくなります。事実、29日の市場では、メガバンク株や保険株が急上昇しました。

このように考えると、日本株の大崩れのリスクはいったん回避されたようにも思われます。

しかし、29日のシカゴ市場では16300円まで下げています。円高が進んでいるのが嫌気されていますね。

海外勢は今回の決定をあまりよく思っていないようです。結局は、いまのところはレンジ相場の域を出ていないということになります。

下値は16250円、上値は17000円。これを抜けるまでは動けません。ただし、現在のバイアスは下方向になっています。

週明けに円高基調が変わらず、16250円を下回れば、下落トレンド入りと判断することになります。

今回の決定でもう少し上に行くのかと思いましたが、現時点ではそうではなさそうですね。

結局のところ、円高リスクはまだ残っているということになりそうです。海外市場では、ドル安が進行しており、ほとんどの通貨に対してドルは下落しています。

この動きが何を意味しているのか、非常に注意が必要に感じます。

また日本国債の先物が急落しています。この動きは非常に嫌ですね。この下げ幅は普通ではありません。かなり注意が必要なように思います。

2003年の「VARショック」を思い出させる動きともいえるかもしれません。

現状で価格下落(=利回り上昇)となれば、国債のポジションは痛みますし、金利上昇で想定外のことが起きる可能性があります。

特に銀行は国債を大量に保有しています。ポートフォリオのダメージが悪い方向に出る可能性があります。週明けは、むしろ金融機関の株式が下げる可能性もあるでしょう。

また週明けには、2日に政府の景気対策の公表、3日には内閣改造が控えています。かなり神経質な動きになりそうです。

繰り返しますが、現在の日経平均株価は16250円が重要なポイントです。ここを維持できれば、戻して17000円を試す可能性は残りますし、失敗して下に行けば、15500円から15250円を試すことになります。

現状では上の可能性は大きく低下したように感じます。いずれにしても、いまはトレンドが明確になってから動きたいところです。

ただし、本格的に下げるのは8月後半から9月にはいってからになるかもしれません。

市場では、8月よりも9月が危ないとの指摘もあるようです。米大統領選挙をにらんでの話でしょう。確かに注意は必要ですね。

結局は、常に注意が必要ということになりそうです。

それにしても、日銀の政策は、ここ最近は本当に上手くいっていないですね。会見での黒田総裁にこれまでのような覇気がなかったのが気になりました。

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