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「魔の8月」の恐れも。日銀の追加緩和を逆手に取る外国人投資家=江守哲

為替市場~円高リスクの再燃に注意

為替も大きく動きました。

日銀金融政策決定会合に絡む動きはともかく、それ以前にも先週は大きく変動するケースがありました。

特にひどかったのが、「政府が50年債の発行を検討」といった報道でした。

米紙が伝えたものですが、この報道をきっかけにドル円は急上昇し、日本株が上昇する場面がありました。

現在の市場環境では、このような報道で市場は簡単に動いてしまいます。

その背景にあるのは、このメルマガでも何度も解説しているように、アルゴリズム取引AI(人工知能)をベースとした取引です。

これらの取引は、ニュースのヘッドラインを見ただけで投資判断をして注文を出しますので、人間の手で発注するよりもきわめて早いわけです。

しかし、問題は、投資判断の基準となっている情報が正しくても間違っていても、そのまま鵜呑みにして判断・投資している可能性が高いことです。

東洋経済オンラインへの寄稿でも少し触れましたが、この動きは本当に厄介です。事実と報道が異なっていても、そのまま取引してしまうからです。

結局、今回も報道内容が誤りだったわけですが、そのため、すぐに戻してしまいました。

このような人騒がせな報道は本当にやめてほしいと思います。

しかし、トレードするものとしては、これらの動きを無視し続けることもできません。何とかその意味を理解して、ついていくことを考える必要があります。

ただし、無理はする必要はありません。結局はノイズで終わることも少なくないので、まずは初動で入れなければ、無視した方が賢明です。

さて、日銀金融政策決定会合の内容を受けた為替市場の動きですが、かなり変動しました。29日は7時台から誤発注とみられる乱高下があり、103円台に突っ込むなど、午前中だけでも非常に大きな動きがありました。

また、会合の決定内容が伝わらないので、12時入るとどんどん円安が進みました。このような時間になるまで発表がないときは、相応の決定がなされているという過去の経験則から、ドル円が買われたわけです。

この間にも相当の変動がありました。そして、発表後は上下に変動しました。内容に対してポジティブに捉える買いと、ネガティブに捉える売りが交錯し、動き値動きになりました。しかし、東京時間は何とか踏みとどまりました。

この動きだけを見れば、内容には充分ではないものの、売り込むほどではないといった評価だったといえます。104円台で推移したというのは、そういう意味だったように思います。

しかし、海外市場に入ると、状況は徐々に変わってきました。米国のGDPが弱かったこともあり、ドル売りが加速し、ドルが全面安になったのです。

これまでは、ドル安は市場で歓迎されてきました。しかし、この日のドル安は米国売りを想起させるものでした。

直近のFOMCでは、利上げの可能性を残す声明文が発表されましたが、現状では利上げは難しい。このような状況をすべて織り込んでのドル安であれば、これは決して喜ばしいドル安ではないといえます。

そのような状況の中での軟調なGDPの発表です。これは嫌な感じがします。

この日のドル安は、正直なところ想定外の動きです。しかし、欧州通貨が落ち直し、円高になり、新興国通貨・資源国通貨も上昇する中で、欧米の国債価格が上昇しているところに、将来の懸念が表れているように思います。

英国のEU離脱後の欧州通貨の下落がリスクと考えていましたが、ユーロが上昇基調に戻したので、これでポンド安だけが残っている状況です。

週明けからの市場動向にはかなり注意が必要になったと感じます。

これまでとは質の違うリスクオフの動きになる可能性もありそうです。ドル安でも米国株が上昇しなくなるようであれば、それが悪いドル安のサインということになりそうです。


本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2016年8月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文(「コモディティ市場~金相場が急伸」「今週のポジショントーク~メタル相場の上昇が貢献」「マーケット・トピック~GPIFの投資対象の全貌が明らかに」「マーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件」)もすぐ読めます。

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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。

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