朝鮮半島情勢が緊迫化していますが、有事のマーケットの動きは予想しにくいもの。しかし、基本的にどういう動きが起きやすいかを考えると、慌てずに済むこともあります。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
朝鮮半島緊迫!有事に特有な「マーケットの習性」を理解しよう
危機の当初は「ポジションが解消される方向」に注目
有事のマーケットの動きは、予想しにくいですね。しかし、基本的にどういう動きが起きやすいかを考えると、慌てずに済むこともあります。
例えば、自分がいっぱいポジションを持っていたとすれば、どうでしょうか。心配になりますよね。心配になって、ポジションを少な目にしたり、マーケットから一時的に資金を引き上げたりしますね。つまり、有事のマーケットの動きは、ポジションをフラット化し、ポジションを解消する方向に大きく動きやすいという特徴があります。
これが、あるときは円高であったり、あるときは円安であったりする理由です。
日本の一般の投資家の場合は、株式市場では「買い」が多く、ドル円など円関連の為替取引も「外貨買い・円売り」が多いという特徴があります。
ですから、本来という意味では、危機によって株価が上昇したりドル円が上昇することも、「売り」が過剰な場合、ポジションが偏っている場合(一般投資家が、株の売りポジション、円買いポジションばかりという場合)にはあり得ます。しかし実際の日本では、株買い、円売りポジションの投資家が多いので、危機によって株が下落し、円買いとなることが多いというわけです。
つまり、危機の初動では、過大なポジションの解消方向に動きやすいということです。ポジションの解消方向というと、そのときのポジション状況次第なので、方向は決まっていません。ですから、初動の動き(最初は小さ目)の方向へ、そして、そのままぐっと動くというイメージです。
なので、危険回避という意味では、なんとなく方向が見えてきた場合、その逆のポジションは極めて危険ということになります。なんとなく損失が増えてきているが、それほど大きい幅ではない…こういう現象は危険です。
ポジション解消一巡後の大きなトレンドを見極める
ポジションが解消されると、次に危機による大きなマーケットの動きがでます。危機が起きた当日の場合もあれば、1週間ぐらい後ということもあります。このとき、ポジションの偏りが解消され、損失確定のポジション整理(為替の場合、ストップロスなど)が起きます。
さて、その後はどうなのでしょうか。自分の見方と、マーケットの動きの方向が同じ場合は、「にんまり」する投資家もいるでしょう。しかし…相場の原動力は、ポジションの解消です。ですから、ほとんど全てのポジションの偏りが整理されてしまうと、今度は突然に、逆に大きく動き始めたりします。いわゆる、マーケットが危機を「織り込んだ」状態です。そうなると、「初動の動きに合っていた」大きな利益は、あっという間に減ります。
大きな損失でストップロスとなった投資家も出てきますが、しばらく時間が経つと、損失は固定されたが、マーケットは何でもなかったかのように戻っている、ということが起きやすいのです。