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日本のメディアが伝えない「北朝鮮リスク」この材料はまだ終わらない=児島康孝

不毛なミサイルの「本物論議」

北朝鮮が4月15日に行った軍事パレードが、各国のメディアで大きく報じられた。日本のメディアでは「ミサイルが本物かどうか」が議論されていたが、それは全く意味がないものだ。少し考えればわかることだが、アメリカとの軍事的な緊張が高まる中で、実戦配備しているミサイルをパレードに持ってきているのかどうかという話で、意味のない議論である。

アメリカのテレビでは、北朝鮮のミサイル技術の進歩が非常に早いことについて、軍事評論家のコメントが多数みられた。SLBMについては、「本物に見える」という意見が多かったようだ。つまり、驚異的なミサイル技術の進歩を示すための軍事パレードであったということだ。これは、パレードに出てたのが仮にミサイルの筒だけであったとしても、別の場所で実戦配備しているのであれば、それで十分ということである。

日本のメディアでは、溶接部分がどうとか、消火器が付いていないとかやっていたが、パレードに出てきたものがイミテーションであっても、実戦配備できる技術があるかどうかが本当の問題なのである。

北朝鮮情勢には「半身」の姿勢で

アメリカの原子力空母「カール・ビンソン」は、ほぼ朝鮮半島周辺海域に達している。カール・ビンソンは、シリアを攻撃したような巡航ミサイル「トマホーク」はもちろんのこと、核兵器も当然に備えているはず。朝鮮半島周辺は、非常に危険極まりない状況である。

一方、4月17日のNY市場では、NYダウが大幅に上昇し、+183.67ドル、20636.92ドルとなった。ドル円も急速に反転し、本稿執筆時(4月18日 日本時間8:50)に1ドル=109円10銭前後となっている。

これは、一部の海外メディアが中国と北朝鮮が水面下で交渉を行っていると伝えたことから、相場が急速に反転しているものである。北朝鮮情勢をめぐる相場の動きは、総悲観からの巻き戻しパターンや、逆に、一時巻き戻してその後に本格的に調整するなど、いろいろなパターンが考えられる。そのため、「半身」の姿勢で見ることが重要になってくる。

「アメリカと北朝鮮が軍事衝突」ということになれば、日本に核ミサイルが落下することも十分にあり得る。一方で、西ドイツと東ドイツのベルリンの壁崩壊によるドイツ統一や、北ベトナムと南ベトナムの統一のケースを見ればわかるように、問題が解決することもある得る(ドイツは資本主義陣営での統一、ベトナムは社会主義陣営での統一となった)。

このことからも、「半身」の姿勢(両方があり得るという観点)で、実際の相場の動きをみることが重要である言える。「半身」ということの意味は、単に反転して上昇ということもあり、反転と見せかけてさらに下げるということもある。くれぐれも、一方向だけしか考えないというのは、リスクが大きいということだ。

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ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2017年4月18日・19日)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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