御用学者と庶民感覚のズレ
しかし、何もこうした統計資料で確かめなくとも(それは大事なことですが)、世相をつぶさに観察していれば、景気など少しも回復していないことは明らかです。
筆者は、タクシーに乗るたびに、運転手さんに「景気はどうですか」と聞くことにしています。ここ3、4年、これまで50回くらいは聞いてきたと思いますが、「よくなってきてますね」と答えた人は、ただの1人もいません。
反対に、「よくないですねえ」と答える人が圧倒的に多い。なかには「アベノミクスなんてデッタラメよお!」と威勢よく応じた女性運転手さんもいました。
またこの2年の間に、鶴岡市、京田辺市、白浜町、藤枝市などの地方都市を訪れましたが、どの町も閑散としていて、目抜き通りはシャッター街でした。まことに「いざなぎ景気」とはうら寂しいものであります。
さらに、筆者の住む地区にあるデパ地下のスーパーは、隣のイトーヨーカ堂などより価格が高いので、昼間は閑散としています。ところが、閉店近くになると生鮮食料品が半額になり、客がどっと押し寄せます。特売品には長蛇の列ができます。
この光景は、筆者が子どもの頃に開店した「主婦の店 ダイエー」を彷彿とさせます。みんな必死で家計をやりくりしているのですね。
御用学者が気づかない、庶民感覚とのズレ
吉川洋氏だけでなく、伊藤元重氏、伊藤隆敏氏、土居丈朗氏など、消費増税推進を目論む御用学者たちは、何か根本的に自らの職業的使命を間違えています。庶民の生活意識と自分たちの主張とがいかに乖離しているかということにすら気づいていない。いったい何のために「経済学」とやらをやってきたのでしょうか。
「緊縮真理教」に骨の髄までやられている財務官僚。そしてそこにダニのように群がるこの人たちを、権力中枢から追放する方法を、何とかみなさんで考えましょう。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年6月22日号(もうすぐ「いざなぎ景気」だとよ!)より
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