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「トランプ大統領」が公約する対米自立プランで日本はどう変化する?=岩崎博充

怖いのは地政学リスクよりも意図的な「ドル安」

トランプは、日本や韓国と締結している「安全保障」の再交渉もしくは破棄を訴えている。

日本に駐留する約5万人の在日米軍、及び2万8000人の韓国米軍を引き上げるようなことになれば、日韓共に現在「半額」負担している米軍駐留費を全額自己負担する必要がある。

日本は20億ドル(2100億円)、韓国は9億ドルの負担だが、単純に2倍にすればいいというものでもない。当然、米軍は武器は持って帰るだろうし、現在の米軍のレベルの武器装備や人員を揃えるには相当の時間とコストがかかる。

安倍政権がやっているような「中国敵対政策」では、すぐに限界が見えるはずだ。日本が中国と単独で戦争しても、勝てる可能性は太平洋戦争よりも低いかもしれない。そもそも資源をほとんど持たない日本にとって、戦争という選択肢はありえない。

トランプ氏の最大の目的は「お金儲け」だから、米国が攻撃されるようなリスクは犯さないはずだ。トランプ大統領による地政学リスクはむしろ少ないとみるべきだろう。

むしろ、これまでの市場原理を重視するという姿勢から転換する可能性のほうが高い。共和党が重視する「小さな政府」もどうなるのか不透明だ。共和党の重鎮は、今回揃ってトランプ支持を避けた。そういう意味では、共和党政権のスタンスを守る必要もなく、たとえば米国の不動産市場を活性化させるためなら、意図的に景気を良くする政策を平気で取りそうだ。

FRBが進めている利上げは、不動産市場にはマイナス要因になる。安倍首相がやったように中央銀行に様々な圧力をかけて、意図的にバブルを作ってしまう可能性もある。

FRBが利上げをすると、当然米ドルが買われる。ドル高になれば、米国の景気は成長率がかげり、不動産価格も下落する。

経済運営に素人同然のトランプ大統領なら、プラザ合意のような形でG7(7カ国首脳会議)を招集して、強制的なドル安を演出してしまうかもしれない。

Next: トランプ当選でも東京株式市場への影響は限定的? ただし…

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