2015年の相場におけるトレンドといえばインバウンド消費による業績アップからの株高ということが挙げられます。インバウンドとは訪日外国人による消費のこと。訪日外国人の消費というと、いわゆる旧正月に中国から来た観光客による「春節買い」がありますが、注目すべきは他にもあります。
インバウンド消費の中心はやはり中国
国籍・地域別 訪日外国人1人当たり旅行支出と旅行消費額 | |||
---|---|---|---|
国籍・地域 | 1人当たりの旅行支出 | 訪日外客数 | 旅行消費額 |
韓国 | 7万5852円 | 275万5313人 | 2090億円 |
台湾 | 12万5248円 | 282万9821人 | 3544億円 |
香港 | 14万7958円 | 92万5975人 | 1370億円 |
中国 | 23万1753円 | 240万9158人 | 5583億円 |
タイ | 14万6029円 | 65万7570人 | 960億円 |
シンガポール | 15万5792円 | 22万7962人 | 355億円 |
マレーシア | 14万5466円 | 24万9521人 | 363億円 |
インドネシア | 11万9884円 | 15万8739人 | 190億円 |
(観光庁:訪日外国人消費動向調査 2014年 年間値より一部抜粋)
観光庁が発表した『訪日外国人消費動向調査 2014年 年間値』によるとここ数年は外国人観光客数、消費額ともに右肩上がり。中でも顕著なのがアジアからの観光客です。特に中国からの観光客は240万人を越え、1人当たりの消費額も23万円とかなり多いのがわかります。
それを支えているのが以前当サイトの記事『象印マホービン好調の裏にある中国の春節買い』でもお伝えしました春節買いです。既報の通り、象印マホービンは好調。観光客が大挙して訪れるラオックス<8202>も赤字から黒字へ転換。昨年8月までは50円前後で推移していた株価も今年2月には300円台に突入するなど、半年で実に6倍も上がっています。また、外国人観光客専用の免税カウンターを備えた店舗があるドンキホーテホールディングス<7532>も26期連続増益を達成するなどまさに絶好調と言えるでしょう。
しかし今回「MONEY VOICE」編集部が注目したのは中国ではなく、インドネシア、マレーシア、シンガポールです。これらの国々からの観光客急増の裏には2014年9月のビザ発給条件の緩和も契機になっていることは間違いありません。そして、見逃せないのが、これらの国々ではムスリム(イスラム教徒)が多数派を占めるという点です。
ハラル対応している企業、今後ハラル対応しそうな企業
ムスリムといえば重要となってくるのがハラル対応。イスラム教では豚肉やアルコールなどが禁止されており、ハラル対応とは、ムスリムの戒律に則った食べものを提供することです。
いち早く対応しているのがグルメ杵屋<9850>。関西国際空港内にある「信州そば処そじ坊」や成田空港第1ターミナルにある「自家製麺 杵屋麦丸」、成田空港第2ターミナルにある「あげたての味 天亭」などがハラル認定を受けています。
また、ゼンショーホールディングス<7550>の牛丼チェーン「すき屋」やWDI<3068>のイタリアンレストラン「カプリチョーザ」、コロワイドホールディングス<7616>傘下のレインズが運営する「牛角」もマレーシアではすでにハラル認定を取得しており、今後日本国内で対応することは十分に考えられます。
いずれにせよ、外国人観光客の取り込みは、今後、外食産業が成長するためには絶対に外せない要素。株価の面でも注目しておきたい銘柄ばかりです。