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内閣改造はなぜ愚策なのか? 安倍総理が「こんな人たち」に負ける理由=近藤駿介

安倍総理は圧倒的に不利

偽証罪に問われることがない閉会中審査では、「加計学園問題」に関しては、与党側は獣医学部新設の手続きが法に則って適正に行われ、総理の意向が入り込む余地はなかったという印象を築こうとし、一方野党側は総理の関与があったという印象を与えようとする印象付け合戦になることが予想される。

その結果、議論は水掛け論になり、国民が納得できる説明を得られる可能性は低いと思わざるを得ない。

また、閉会中審査の印象付け合戦では、安倍総理側は最初から不利な立場に立たされている。内容の正確さは担保されていないとはいえ、実際に存在する議事録等の文書に基づいて総理の関与があったことを追及する野党に対して、都合の悪いことは「記憶も記録もない」と追及をかわし、都合のいいところは「絶対にない」と「記憶」に基づいて断言する与党の反論の印象が悪く映ることは避けられないからである。

都合の悪い分部に関する記憶を失う人達が、都合のいい部分でいくら自分の「記憶」に基づいた主張を展開してもまったく説得力がないからだ。

「証拠」はなくとも

常識問題として、安倍総理が個別に加計学園に便宜を図るような指示を出すことはあり得ない。また、仮にそれを示唆するような発言があったとしてもそれが明らかになることはあり得ない。原則、組織は親分の首を取られたら終わりである。それゆえ組織は様々な段階で「トカゲの尻尾切り」を行うことで責任が親分に及ぶことのないように構築されるものである。

したがって、安倍総理が加計学園問題に関与した証拠が得られることも、その責任が取られる可能性も限りなくゼロに近い。閉会中審査で野党側の追及によって総理の加計学園問題への関与が明らかになることはないはずである。

しかし、それが明らかになることがなくても、与党側が苦しい戦いを強いられることは間違いない。

何故ならば、野党側は安倍総理の関与を明らかにすることができなくても、「総理の人柄」に対する信頼を回復させなければ十分目的を達成することになるからだ。

加計学園に対する獣医学部新設を認める政策プロセスについて「一点の曇りもない」と強調する安倍総理だが、昭恵夫人を始め野党側が要求する証人喚問に一切応じない時点で発言に疑問を抱かれてしまう不利な戦いを迫られることになる。

閉会中審査で「総理の人柄」に対する信頼を回復させることは極めて難しい状況であることを考えると、安倍総理は8月3日に予定している内閣改造に支持率回復を賭けることになる。

Next: 「内閣改造」での支持率回復が難しいシンプルな理由

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