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値下げイオンvs値上げ鳥貴族。「回復する個人消費」駆け引きの勝者は?=斎藤満

今夏のボーナス、実はマイナス

まず、このところの家計消費を支えているのが、2人以上世帯の約半分を占める勤労者世帯の消費です。全体の消費が実質で前年比0.2%減であったのに対し、勤労者世帯の7月の実質消費は1.5%増、勤労者以外の世帯は前年比2.5%減、このうち、無職世帯では0.4%減となっています。

勤労者の消費が全体を支える形になっていますが、勤労者世帯の実質実収入が3.8%増となったことが寄与しています。しかし、その内訳をみると、世帯主の定期給与が1.4%増に留まったのに対し、ボーナスが11.0%増えたことが大きく貢献しています。ボーナスが実収入を2.6%も押し上げた形になっています。

しかし、厚労省の「毎月勤労統計」やその他の調査では、今年夏のボーナスは前年比マイナス、との結果になっています。総務省による家計調査でのサンプル世帯が、たまたまボーナスの増えたサンプルを多く含んでいた可能性があり、全体の勤労者がこれほど収入で恵まれていなかった可能性があり、勤労者世帯の消費は「できすぎ」の可能性があります。

高齢者が「生活苦」に

そして勤労者以外の世帯では、このところ消費の減少が続いています。家計調査によると、勤労者世帯が約50%、無職の年金世帯が35%、その他が15%となっています。このうち、無職世帯の消費は7月が0.4%減、その前の6月が3.4%減となり、勤労者以外の世帯全体では6月の2.8%減、7月の2.5%減と、減少が続いています。

このため、勤労者世帯の消費が過大評価で、いずれ低下すると、全体の消費がさらに弱くなる面があります。消費の内訳を見ても、若者を中心にスマホなどの「通信費」が0.6%押し上げているほか、7月は久々に自動車が0.6%押し上げ、葬儀代などが0.75%押し上げ、冷蔵庫も0.2%押し上げました。通信費以外は持続性に疑問がつきます。

一方、消費の足を引っ張ったものとしては、贈与などの交際費が1.05%も押し下げ、住宅設備の修繕費が0.4%、保健医療が0.24%押し下げています。高齢者の懐に余裕がなくなってきた懸念を伺わせます。

Next: 企業は人件費増加に慎重。消費回復はまだ本物とは言えず

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