fbpx

値下げイオンvs値上げ鳥貴族。「回復する個人消費」駆け引きの勝者は?=斎藤満

企業は人件費増加に慎重

人手不足の広がりで、パートの時給が2%から3%増加し、また正規雇用シフトも見られるようになりました。しかし、企業は固定費としての人件費増加には慎重で、財務省の「法人企業統計」をみても、企業は人件費、とりわけ従業員給与を抑制しています。このところの業績改善にも拘らず、夏のボーナスは前年比減少となったと言います。

消費回復はまだ本物ではない

購買力の増加が伴わず、一方で社会保険料などの負担が高まり、可処分所得がさらに抑制されています。その中で、猛暑でエアコンを買い、車や家電の買い替えをして消費を増やすと、後でその反動が来ます。4-6月の消費回復は、これら一時的な消費の誘因に加えて、限界的に物価が下落した恩恵が後押ししました。

しかし8月の東京都区部の物価は、帰属家賃を除く実態ベースで前年比0.7%上昇しました。電気ガス、宅配料金、生鮮野菜、魚介類の不作による値上げも重なりました。これで実質購買力が圧迫されると、消費はまた勢いを削がれます。消費の回復はまだ本物ではなさそうです。そのなかで値上げに踏み切った企業のパフォーマンスに注目したいと思います。

続きはご購読ください。初月無料です


※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年8月30日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】バノン解任という茶番。ネオナチを擁護するトランプは戦争に舵を切るのか?=斎藤満

<初月無料購読で今すぐ読める! 8月のバックナンバー>

・個人消費の回復に疑問符(8/30)
・あらためて秋以降の中国リスクに警戒(8/28)
・米債務上限引き上げかデフォルトか(8/25)
・利用される「北朝鮮脅威」(8/23)
・バノン氏解任でトランプ政権は結束できるか(8/21)
・日銀の「ステルス・テーパー」も円安を抑制(8/18)
・中国習近平長期政権の前途多難(8/16)
・北朝鮮の行動を左右する周辺国の事情(8/14)
・経常黒字20兆円強のデフレ圧力(8/9)
・日銀の物価目標が最も現実離れ(8/7)
・内閣改造効果に過大な期待は禁物(8/4)
・ユーロ悲観論が後退、なお先高観(8/2)

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

8月分すべて無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。

7月配信分
・円安期待の賞味期限切れ(7/31)
・全員リフレ派委員となった日銀の危うさ(7/28)
・中国が抱える5000億ドルのドル債爆弾(7/26)
・賃上げのない労働市場の実情(7/24)
・PB黒字化先送りの影に見えるもの(7/21)
・トランプのロシア疑惑、ロシアの事情(7/19)
・異例の景気パターンが示唆するもの(7/14)
・黒田日銀はゴールを見直す時期に(7/12)
・北朝鮮危機と米中関係(7/10)
・米中密約に暗雲(7/7)
・2対1の威力(7/5)
・民主主義の危機が相場にも重石に(7/3)

6月配信分
・なぜFRBと市場の認識ギャップが埋まらないのか(6/30)
・民間貯蓄の解放を(6/28)
・日銀が突き付けられた不都合な真実(6/26)
・狂いが生じ始めた3つの「想定シナリオ」(6/23)
・市場も騙された日銀のステルス・テーパー(6/21)
・物価目標見直し機運の広がり(6/19)
・官邸は加計学園問題で読み違いか(6/16)
・トランプ大統領はイスラエルを100%支援(6/14)
・一段の財政拡張路線で良いのか(6/12)
・誰のための「働き方改革」か(6/9)
・企業が人件費増に慎重(6/7)
・ヒンデンブルグ・オーメンが点灯(6/5)
・米国経済に「終わりの始まり」?(6/2)

5月配信分
・家計調査に見る消費の構造変化(5/31)
・究極のトランプ・リスクはドル不安か(5/29)
・市場との意思疎通に悩むFRB(5/26)
・統計の水増しより精度の改善が先(5/24)
・円安期待見直しの時期に(5/22)
・マンさんのGDP診断(5/19)
・追い詰められるトランプ大統領(5/17)
・日銀の出口策を考える(5/15)
・日銀、出口策の影響公表を検討へ(5/12)
・人手不足でも増えない賃金(5/10)
・米利上げとトランプ政権の対応(5/8)
・北朝鮮問題を考える(5/1)

4月配信分
・流れに逆行する日銀のリフレ体制(4/28)
・ヤマト運輸の賭け(4/26)
・北朝鮮に手を焼く中国の苦悩(4/24)
・期待相場がはげ落ちるリスク(4/21)
・FRBの資産圧縮で市場の混乱は回避?(4/19)
・日米経済対話を前に為替圧力(4/17)
・見えてきたトランプ大統領の本性(4/14)
・トランプ政策下の金利高ドル高見通しは修正(4/12)
・米中首脳会談で習主席は窮地に(4/10)
・日銀理論の破たんを示す需給ギャップのプラス化(4/7)
・天下分け目の米中首脳会談(4/5)
・年金不安のデフレ圧力(4/3)
さらに以前のバックナンバーはこちら

【関連】なぜ今、欲しいモノもお金もない「消費しない日本人」が増えているのか?=斎藤満

【関連】日本はなぜ超格差社会になったのか?その「制裁」は1989年に始まった=矢口新

1 2 3

マンさんの経済あらかると』(2017年8月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

マンさんの経済あらかると

[月額880円(税込) 毎週月・水・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー