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日本郵政の危ないマネーゲーム。個人をはめ込む政府株売却の本音と建前=近藤駿介

ゆうちょ銀行が期待値の低いアクティブ運用を開始へ

その日本郵政グループの収益を支える重責を担っている、ゆうちょ銀行の元大手外資系証券会社副会長出身の副社長兼運用責任者は、Bloombergの取材に対して「市場環境が整い次第、株式のアクティブ運用を開始」することを表明している。

6月末で2兆1412億円規模の国内株式や外国証券、オルタナティブなど積極投資型のサテライトポートフォリオを15年3月末の48兆円から69兆円にまで拡大してきたが、現在140人体制である運用部門の人員を今後1年でオルタナティブを中心にさらに約20人増やし、6月末現在で6872億円の投資残高を今後5~10年で5、6兆円をめどに積み増す考えだという。

こうした投資方針はどこかしら、約149兆円の公的年金資金を運用し「世界最大の機関投資家」と称されるGPIF(年金積立金等管理運用独立行政法人)とかぶるものである。

そこで、GPIFが公表している2016年度の「各資産の超過収益率の状況(直近5年間及び10年間)」を見てみると、国内株式を対象とした「アクティブ運用」の運用成績は芳しいものではない直近の5年こそベンチマークを年率で0.23%上回っているものの、ベンチマークに対する勝ち負けで見ると2勝3敗と負け越している。

そして、過去10年間の成績はベンチマークに対して4勝6敗と負け越しで、超過収益は年率で▲0.04%と、ベンチマークの収益を下回っている。

「アクティブ運用」の成績が芳しくない状況は、外国株式ではもっと顕著である。直近5年間でベンチマークを年率▲0.58%下回っているうえ、過去10年間でみてもベンチマークに3勝7敗と大きく負け越し、収益でもベンチマークを年率▲0.48%下回っている。

GPIFは日本の公的年金の運用を行う世界最大の機関投資家であり、運用を委託されているのは、厳しい審査をクリアした国内外の著名な運用会社ばかりである。こうした国内外の精鋭を集めて運用させた結果、「アクティブ運用」はベンチマークと同等の収益を目指す「パッシブ運用」に勝てないのが現状なのである。

日本郵政の成長は幻、ツケを払うのは個人株主

さらに懸念されるのは、総資産80兆円強で、そのうちの81.7%に相当する65.6兆円の有価証券投資と金銭信託を持っているかんぽ生命が、2017年3月期に1322億円に及ぶ有価証券売却損と償還損を計上していることである(有価証券売却益と償還益と合計したネット収益では470億円の損失)。

前年度の有価証券売却損と償還損の合計が約22.6億円(同9.8億円)であったことから、有価証券投資で大きな損失を出したことが、経常利益で1317億円の減益になった大きな要因となっている。

こうした現実の中で、どのような論理を駆使すれば、アクティブ運用を増やすことがゆうちょ銀行の成長に繋がるという結論を導き出せるのだろうか。

ゆうちょ銀行の運用を積極化していくという方針が理にかなったものでないとしたら、ゆうちょ銀行の有価証券投資の成果に大きく依存している日本郵政の成長などは夢幻でしかない。そして、そのツケを払わされるのは日本郵政グループの株式を保有する民間の株主となる。

Next: 「高配当」や「ROE改善」を理由に投資をするのは危ない

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