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長続きしそうにない円安・株高。9月FOMC声明とイエレン会見を読み解く=E氏

さらなるドル高・円安は難しい

では、この決定を受けて、今後ドルは戻し歩調になり、円安トレンドに向かうのかというとそれは違うと思います。

足元のドルインデックスは昨年末の水準よりも1割程度切り下がっていますが、この間に2度の利上げをしましたし、今年6月のFOMC以降での利上げ以降も下落基調が続いています。

上で書いたように、今年6月のFOMC時点では、今と同じ年内あと1回の利上げを見込んでいたのに、それでも低下し続けたのです。従って、利上げがあったくらいではドルの低下は止まらないということですが、これは今のドルの水準を決定しているのは金融政策以上に、地政学的リスク投機筋の為替ポジションといった需給要因、更にはトランプ政権に対する信認低下という金融政策以外の要素が大きいからです。

元々ドルは年初来下落基調なのは、昨年11月にトランプ氏が大統領に就任したサプライズがあまりにも大きかったためです。

起こりえないと思っていたことが起こってしまったことで思考停止に近い状態に陥ったマーケットは、この未知の人物であるトランプ氏の公約が全て実現してしまうかもしれないという過剰な期待を描くことになりましたが、彼の公約は、メキシコの壁や移民排除といった対外的な事以上に、国内への企業回帰や大幅や経済対策といったインフレ政策が並んでいました。

多くは財源の裏づけのない荒唐無稽な夢物語でしたが、政治経験がない素人が政治家の名家のクリントン氏を打ち破ってしまうという不可能を成し得た以上、荒唐無稽と思われる公約ももしかしたら本当に達成してしまうのではないかと考えた結果、インフレ率が急上昇したのです。

ドルはなぜ下落し続けるのか?

勿論、昨年後半のマーケットの動きは期待感以上に、投機筋のオーバーアクションがあったのは否めず、この結果投機筋は昨年末時点で数年来のピークとも言えるドルロングを保有してしまったのです。

しかし、トランプ氏が今年1月に大統領に就任して期待で動く相場から現実を見る相場に変わると、議会とぶつかってばかりな上に、身近な政策スタッフもどんどん止めていき、政権の維持が困難に思われるくらいの惨状になるに連れて、トランプのインフレ政策はほとんど実行されないだろうから、昨年後半に描いたインフレシナリオは全てご破算になるという失望感からドルが売られ、米金利が低下したのです。

この失望感の売りの結果、今年6月時点で、ドルは大統領選前の水準まで下落したのですが、以降もドルが下落し続けたのは、トランプ政権のゴタゴタで、彼が大統領に就任する前より経済が停滞する可能性をマーケットが感じ始めたこともありますが、それ以上に北朝鮮問題が緊迫化したこともまた大きいです。

Next: 依然として円買い戻し・ドル売り圧力は強い

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