足元でドル安・円高が進行しなかった理由とは?
にも関わらず、今月に入ってからのドルの売られ方が軽微(≒円高が軽微)だったのは、トランプ政権内でのゴタゴタが落ち着いていることと、ハリケーン対策の予算化のためトランプ政権提出の予算案が通りやすくなっているといった政権崩壊が足踏みしていることが理由です。
しかし、当然ですが、トランプの司法介入疑惑やロシア問題は依然として捜査中なので、政権リスクはいまだに残っていますし、先日の国連総会でもわかるように、日米のみならず多くの国にとって喫緊のリスクが北朝鮮問題になっているのは明白なので、北朝鮮が暴走を諦めるどころか、さらに増長している以上、依然として円買い需要は強いし、ドルの独歩売りの潜在ニーズも強いといえます。
このように考えると、今回FOMCで市場見通しよりタカ派の利上げ姿勢になったからといって、円高基調に変化が出る可能性は低いといえますし、円相場との連動性が高い日本株も売り圧力が強まると思われます。
日本株買いは続かない
従来、日本株は、米国株が史上最高値を更新し続けたことに引きずられて、円高でも下げ渋っていましたが、先週のFOMC以降米国株の上値が重くなっている以上、従来のような牽引役がなくなりました。
選挙時の日本株は上がり易いといううがった見方がありますが、これは通常は選挙対策のリップサービスがふんだんに用意されるからであって、今回のように解散の大義がいまいち不明な場合は期待感で買い上げる要素に乏しいでしょう。
勿論、政権与党内には今解散をしないといけない理由があるのでしょうし、巷間では年末の北朝鮮への軍事行動に備えて前倒しにしたなどというまことしやかな噂も出回っていますが、株式市場に必要なのは噂ではなくて、経済対策などの目に見える「数字」なので、こういった憶測だけ(しかも、株が上がる理由にはならない)で株式市場の押し上げ要因にはなりません。
以上を考えると、先週発表のFOMCの決定は、7月以降続いていた過剰に弱気なインフレ見通しを修正させることには成功したものの、そもそもドルや円が金融政策以外の要素で動いている以上、ドル安円高の歯止めにはならないと言え、結果、日本株も下落余地の方が高いといえます。
主要先進国で、今最も世界が危険視する北朝鮮に近いのは日本なのです。今は期待感で買う相場ではなく、楽観で上がったところで弱気ポジションを構築して、ヒヤっとして売られたときにポジションの解消を行う(利益確定)ことで稼ぐ相場です。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年9月24日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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