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【展望】「買いの主体がGPIFに移行したか」東京株式市場のポイント(1/29)=國澤晃

賃金と物価が上がるだけではダメ

そんなわけで、現状のデータに論拠せずに雰囲気で語る輩はどうも私は嫌いです。それが「今AIが強まる時代、人間臭くて良い」という意見もあるかも知れませんが、勝手に内輪でやっているならともかく、外の人様に迷惑を掛けるようであれば害でしかありません。

どこぞの小国なら放っておけば良いのでしょうけれど、(将来的には過去形で語られるかも知れませんが)世界のリーダーたるアメリカが我々日本にまで火の粉を振りまいてくるようなら、何としてでも払わなければなりません。

ではそんなに無理矢理雇用者数を増やそうとしたらどうなるか。人手不足感が強まる→賃金を上げる→物価が上がる…ということになります。…おや、これは経済的には良い流れではありますね。

ところが、それには「実質所得が上がって皆が豊かになれば」という大前提があります。今後もしドル安政策や保護主義による関税障壁を採って輸入物価が上がるのであれば、いくら仕事が増えて賃金が上がったとしても国民は納得しないでしょう。

何故なら、トランプ大統領を支持した白人労働層は雰囲気で不満を言っているからです。彼らにいくら数字で語っても、体感や過去の経験、雰囲気で判断してトランプ大統領に投票した人達ですから、例え自分達の収入が1万ドル増えたとしても、NYに住む富裕層が100万ドル増えたら、決して納得はしません。相対比較感で気分が悪いからです。

そんな人々に「世界をご覧なさいと。お隣メキシコなぞは既に十分貧しいのに、にもかかわらずあなた方に一段と搾取されようとしているのだ」と言っても無駄なのは、映し鏡であるトランプ大統領一人を見ればよくわかります。

まあ、そんなメキシコも今は結局ペソがまた安くなっているので、例え25%の関税をかけたところでペソ安が25%進むなら、結局メキシコで作ってアメリカに輸出した方が良いということになるのですが。足元はメキシコに進出している企業の決算は良いでしょうね。

ちなみにトランプ大統領決定から、10%以上ドル高ペソ安が進捗しています。

他方、トランプ大統領以外の政治家、官僚は数字で理性的に判断しますから、物価が上がってインフレ感が強まってくるようであれば、利上げをドンドン繰り返すでしょう。それが賃金の上昇スピードに追いつけないのであれば、益々住宅は持てなくなってくるし、自動車は借り換えられなくなるし、学生ローンは返済できなくなる。未来のアメリカ経済はドン詰まり感しかないように思えます。

その時は今度一体誰のせいにするのでしょうか?もし自分の周りに事ある毎に人のせいにしてブーブー文句を言っている輩がいたら、決して友達になりたくはありません。向上心が感じられず、そんなヤツが先々成長するとは思えない。そのうち自分のせいにされるかも知れませんし。日本君ももっとお友達を選んだ方が良いと思うのですが…。世界から同類と見なされかねません。

現実問題として、アメリカ社会は停滞しつつあります。休日中にもイスラム系の国からの入国を禁止した大統領令に対して連邦裁判所が待ったをかけて空港が大混乱と伝わっています。毎週末にはデモが行われていますし、とにかく大混乱ですね。

Next: トランプが息巻く「メキシコ国境の壁」は、実現しない可能性も高い

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