10年間ほとんど値動きしない銘柄も
一方で上記10年前のカタログと現在の相場を比べますと、逆にほとんど値動きしていない銘柄があることがわかります。
例えば、アメリカの一部のコインたちです。平成19年のオークションカタログを見ますと、当時のアメリカコインの落札価格は以下のようになっています。
9. アメリカ1799年1ドル銀貨、VF:26万円
10. 同1862年シーティッドリバティ1ドル銀貨、1862年プルーフUNC:32万円
11. 同1881年、貿易銀、プルーフAU/UNC:30万円
面白いことに、これらコインの現在の相場は、当時とほとんど変わりません。
ですから、仮に皆さんが10年前のオークションに参加したとして、最初の7枚を買うか、あとの3枚を買うかによって、10年後の成果に驚くほど差がついたわけです。
将来性がある銘柄は?
このように考えますと、コインの銘柄選びがいかに大切かがよくわかります。
基本的には成長性の高い国のコインを選ぶべきでしょうが、成長性の高い国は新興国の場合が多く、一般的にそのような国はコインの歴史は浅く、したがってコイン市場も貧弱です。
それでも一部の例外はあります。例えば、タイやアンナン(今のベトナム)です。ほかにもイギリスやドイツ、フランスなど、かつての列強の旧植民地コインもおもしろいでしょう。
上記事例でアメリカコインの停滞について紹介させていただきましたが、安値に放置された銘柄はいずれ適正相場に戻るものです。
アメリカコインの歴史は浅く、収集対象としてみた場合はおもしろみに欠けるのですが、それでも残存枚数が少ない初期1ドル銀貨や、同じく初期の5ドル、10ドル金貨などは狙い目としておもしろいと思います。
あと将来性があるのは、第二次世界対戦以降に発効された金貨のうち、鋳造枚数が少ないコインでしょう。1950年あたりでも発効後70年ほど経っており、そろそろクラシックコインの仲間入りです。デザインが良いもの、経済的に豊かな国が発効した金貨は、先行投資の価値があるでしょう。
このように既に高騰したコインを追いかけるのではなく、次世代のスター銘柄を発掘する作業もまた、コイン収集の1つの楽しみではないでしょうか。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2017年10月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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