このまま行けば「悪性の財政インフレ」も
日銀の中曽副総裁は、必要ならイールドカーブの見直しも示唆しました。市場金利が上昇する中で、日銀が単独で買い支えることは無謀です。持続的な金利上昇となれば「指値オペ」では対応できなくなるので、長期金利目標を引き上げざるを得ません。これは日銀の利上げになるわけで、緩和の後退とともに、為替に円高圧力となります。
これを避けようとすれば、金利上昇の中で国債を買い続け、その「出口」を半ば放棄するかたちになり、最後には「ヘリ・マネ」になります。これは日銀のファイナンスで国が財政支出を拡大するもので、これが進むと悪性の財政インフレになります。政府日銀が一体となるといえば聞こえは良いのですが、日銀による財政ファイナンスにほかなりません。
今回の選挙は、日銀がこの呪縛から解放されるチャンスだったのですが、安倍総理続投でこれも逸しました。再任が予想される黒田総裁には、引き続き「ヘリ・マネ」を否定し続ける中で、この異次元緩和の落とし前をつけることが、最後のご奉公となります。安倍政権の下でこれができるか、黒田日銀の正念場となります。
『マンさんの経済あらかると』好評配信中。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
<初月無料購読ですぐ読める! 10月配信済みバックナンバー>
・FRBの資産圧縮が米株価を圧迫か(10/27)
・リセット機会を失った日銀(10/25)
・低インフレバブルと中銀の責任(10/23)
・フェイク・ニュースはトランプ氏の専売特許ではない(10/20)
・金利相場の虚と実(10/18)
・米イラン対立の深刻度(10/16)
・自公大勝予想が示唆するもの(10/13)
・中国経済に立ちはだかる3つの壁(10/11)
・自民党の選挙公約は大きなハンデ(10/6)
・当面の市場リスク要因(10/4)
・景気に良い話、悪い話(10/2)
『マンさんの経済あらかると』(2017年10月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
マンさんの経済あらかると
[月額880円(税込) 毎週月・水・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。